スンスクの春恋(スンスク) 133
さっきチラッと見た、LINEも先生と一緒にいた女の人・・・・
綺麗だった。
先生のあんなに嬉しそうな顔は、初めて見たのかもしれない。
奥さんをずっと想い続けていた先生だから、あの女の人と付き合う事にしたのは、どうしてなんだろう。
ここで先生に告白してから何年も経っていないのに、あの後から私には色々な事があったような気がする。
ミレのお母さんの病気を知っていて、他の人を選んだ元婚約者が私と血の繋がりのあるお父さんだと知ったら、先生もミレも私の事を嫌いになるよね・・・・
私がいなかったら、お母さんもおじさんと幸せな結婚生活を送れるよね?
一人で私を生んで、いくつもの仕事を掛け持ちして、夜遅くまで帰って来なかった。
おじさんからの援助も断っていたと言っていた。
それなのに、授業料が高いパラン高校に行かせてくれて・・・
私が生まれなかったら、もっと早くおじさんと結婚していたかもしれないし、それよりも先生と出会わなかっただろうから、先生の事を好きになる事も無かった。
16年の人生で一番幸せだったのは、課外授業でこの景福宮に来た事。
先生と並んで歩いて、先生の笑顔を独り占めして・・・・告白をして・・・
でも先生は、綺麗な女の人とお付き合いしていて・・・・
「すみません・・・閉園時間なんですけど・・・・」
気がついたら、空には星が輝き辺りは暗くなっていた。
ミラは母の退院でパラン大病院に行く事を忘れていた訳ではなく、行かなかったのだ。
ミレに言われた事よりも、スンスクがセイラといる事にショックを受けて何もかも消し去りたくなったのだった。
ミニョンは退院したばかりでまだ完全に回復してはいないが、ミラが帰って来ない事に心配で横になるどころではなかった。
ミラを探していたジオンと途中で合流したスンスクが、家で待っているミニョンの所に戻って来た。
「ミニョン、何か連絡は・・・・」
「無いの・・・・」
「お母さん、どこか思い出になる場所とか・・・・」
「ミラと一緒にどこかに行った事もないけど・・・・・ただ、あの子はあの場所が好きだったみたいで、部屋で小説を書いていたわ。」
ミニョンはミラの部屋に行き、机の引き出しからノートを一冊持って来た。
それをスンスクに見せると、その場所がどこなのか気がついたスンスクは立ち上がった。
「お母さん、きっとミラを連れて帰って来ます。ジオンさんと待っていてください。」
あの場所は、ミラと一番近くなった場所でもあった。
スンスクは車に乗ると直ぐにその場所に向かって走り出した。
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