スンスクの春恋(スンスク) 135
「そうですか・・・・お願いします。私の方は、ミニョンの傍に今夜は付いていますので・・・・・」
ハラリと落ちた髪を耳に掛けて、ミニョンはジオンが電話で話しているのを耳を澄ませて聞いていた。
ジオンは通話を終えると、ミニョンの肩を抱いた。
「ミラは見つかったよ。」
「どこに?どこにいたの?あの子は元気にしていたの?」
「景福宮の近くの病院に運ばれた。」
「運ばれたって・・・何かあったの?」
ジオンはスンスクから事情を聞いていたが、まだ本調子のミニョンにどんな状況で見つかったのかは言わない方がいいと思った。
「トイレで、気分が悪くなって運ばれたんだって・・・・景福宮に行った後に、パラン大病院に行くつもりだったって・・・」
「良かった・・・・あの子に何かあったら・・・・」
「先生に見つけてもらって良かったよ。明日の朝、家に連れて来てくれるらしい。ミニョンも横になった方がいいよ、僕は今夜は君に付いていてあげるから。」
フラフラとミニョンは立ち上がると、ジオンに支えられて敷かれてある布団の中に横になった。
何があったのか判らなくても、ミニョンはミラが親に迷惑を掛ける子供でもないが、小さい頃から自分が生まれなかったらと言う事を思っていたと知っていた。
仕事に忙しくて、ミラと一緒に話す時間が少なかった事で、子供の悲しみや悩みを親として知らなかった事を悔やんでいた。
よく話をする母娘なら、子供がどこに行くのかすぐに判っていたが、何時間も経って、そこに行っていた事を他人に見つけてもらった事に、責任を感じていた。
「もうすぐ麻酔が切れると思います。」
「病室に入ってもいいですか?彼女の親には、連絡を入れて任せてもらっていますので。」
「仕方がないですね。親が病気で来られないのなら・・・身分証明書を見せていただいてもいいですか?」
スンスクは看護師にパラン高校職員の身分証明書を見せると、病室のドアを開けて中に入れて貰えた。
青い顔をしたミラが、スンスクの方を見ないでガラスに映っているスンスクを見ていた。
「具合は?」
「・・・・・・」
「先生に話してくれないか?何があったのか・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「お母さんが結婚をするのを賛成できないの?」
何を聞いても、ミラは答えなかった。
スンスクは、明日は学校が休みで良かったと思った。
ベッドの横に椅子を持って来て、起きているミラが話し始めるのを黙って待つ事にした。
何分経ったのだろうか。
ミラは小さな声でポツンと言った。
「私がいなかったら、お母さんはもっと早くおじさんと結婚していた・・・それに、先生はあの女の人と何も気にしないで結婚が出来る・・・」
いつもと違って、ミラの悲しい声にスンスクは驚いた。
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