スンスクの春恋(スンスク) 140
僕は知らない間に、ミラの日記を読んでいる途中で眠ってしまった。
学校に行く時間ぎりぎりまで眠って、急いで朝食を食べ終えると、ミレがいつも決まっていた時間に起きて来た。
あまり寝付けなかったのか、寝不足気味の顔でスンスクに近づいて来た。
「お父さん、ミラは大丈夫なの?」
自分の言った言葉にも責任があるのだろう。
いつもは人を傷つけるような事を言う子でもないから、ミラに何かあれば責任を感じてしまう。
「景福宮に行っていたみたいだ。」
「景福宮に?」
「調べたい事があったみたいで、考え事をしていたら時間が過ぎていた事に気が付いたみたいだよ。」
「そう・・・」
それ以上ミレは何も聞かなかった。
勘のいい子供だから、それが本当の理由じゃない事は判っているが、聞かない方がいい事だと言う事も薄々感ずいているのだろう。
久しぶりに家族揃っての朝食。
グミも体調がいいのか、ハニに介助されて、ダイニングで孫や家族たちの食事の風景を楽しそうに見ていた。
「スンスク・・・もう、学校に行くの?」
「はい、おばあちゃんの元気な顔を見たら、今日一日がいい日になりそうですよ。」
「スンスクも、今日はいい顔をしているわね。うちで一番カッコいいわよ。」
すぐにハニはスンジョが一番だと口を挟むが、その姿はいつもの事で誰も気にしないで聞いている。
「朝から話すのもよくないですが、お父さんもお母さんもおばあちゃんも、それにミレもフィマンも揃っているから・・・・・・今度の日曜日、みんなでご飯を食べに行きませんか?」
「スンギのお店?」
食器を片づけながらハニが聞くと、スンジョはスンスクが何を言うのか直ぐに判ったが、特に何も言う事をしないで黙って新聞を読んでいた。
「ロイヤルホテルのレストランに予約を取っているので・・・・それでは行って来ます。」
何も知らないグミとフィマンは、誰の誕生日なのだろうと話し、ハニはスンジョの顔を見て何か言いたそうにしていた。
「おじいちゃん・・・・パパ、もしかしたら紹介したい女性がいるのじゃないの?」
「まぁ!」
グミの好きそうな話題に、目を輝かせてスンジョの様子を伺った。
「さぁ・・・・・おじいちゃんは何も聞いていない。ミレもフィマンも遅刻をしない様に・・・・」
この話しは今は終わりだと言っている様なスンジョの言葉に、これ以上何も聞いてはいけないのだとミレは直感した。
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