スンスクの春恋(スンスク) 145
「スンジョの後輩のお嬢様なの?」
ハニの隣の席で、スンスクが連れてくる女性をグミは気になって仕方がなかった。
「テニス部のソン・ジョンオンって・・・私は知らないけど。」
「ハニは知らないと言うより、気が付いていなかっただけだろ?一人の人間以外、興味が無いのだから。」
「確かに・・・・・」
いつまで経っても、ハニの目にはスンジョしか映らない。
それはそれでスンジョも嬉しいが、時にはそれで失敗をしている事もあるのだから、あまり嬉しそうな顔をハニに向ける事はしない。
「おじいちゃん、どんな人?お姉ちゃんは知っている?」
「チラッと見たけど、綺麗な人だったわ。」
ドアの外からスタッフはスンスクが来た事を伝えると、すでにテーブルに付いていたグミとハニとフィマンは、興味津々な顔で入って来る人を待っていた。
スンスクの後に恥ずかしそうに立っている、すらりと背が高くモデルの様な女性に、スンジョとミレ以外驚いた顔で見ていた。
「おばあちゃん、お母さん・・・フィマン、ソン・セイラさんです。セイラ、僕の母・・・そして祖母に長女のミレと長男のフィマンです。」
簡単に家族の紹介をすると、セイラは礼儀正しく頭を下げた。
「初めまして・・・セイラです。」
セイラの明るい笑顔に、母の記憶がないフィマンは話す事を忘れてしまったように、口を開けて見とれていた。
スンスクが連れて来たセイラと再婚をすると言う話しを聞き、ハニもグミもやっとスンスクにも他の兄弟のように幸せになれるのだと思い涙が出て来た。
まだ若い時に結婚して数年で死別したミラとも幸せだったかもしれないが、看病している姿や、一人で出来る所まではやるからと言っていた子育て。
一時は悩んで荒れていたフィマンも、最近では昔のように明るく元気に過ごしている。
あまり自分の思った事を口にする事のないスンスクが、ずっと見合いを拒否していたのに、子供が手を離れて来て、これからは自分の人生をまた歩む決心をした事に、スンジョは少し安心する事が出来た。
いつまでも親は生きていられない事は自分自身でも判っている。
加齢とともに衰えて来たグミのパワーも、また再熱し始めるような気がした。
0コメント