スンスクの春恋(スンスク) 146

簡単に自分の家族をセイラに紹介をし、セイラを家族に紹介をして初めての顔合わせは和やかな雰囲気で進んだ。

高齢のおばあちゃんが疲れるからと、お父さんとお母さんは三人で先に帰ったが、ミレとフィマンはもう少しセイラと一緒にいたいと言って、場所を移して少し話をする事にした。

思春期のフィマンにとったら祖母のハニやグミ、姉のミレや伯母や従姉達以外の女性と、これほど近く接した事がなく、恥ずかしそうにチラチラと顔を見ていた。

「フィマン君、私がお父さんと結婚するのは嫌かしら?」

「嫌じゃない・・・・・・セイラさんの事、何て呼んだらいいのか判らなくて。」

「お母さんと呼ぶのは嫌?」

「そんな事はないけど・・・・・」

フィマンはミレの方をチラッと見た。

無言でアイスクリームを食べているミレは、怒っているのか何を考えているのか判らない表情をしていた。

「ねぇ・・・・お姉ちゃん・・・・・」

「お父さんの奥さん・・・・・でいいんじゃない?」

「ミレ・・・その言い方だと・・・」

「私はお父さんが再婚するのは別に反対じゃない。でも、お母さんと呼ぶ人は一人だけ。フィマンはお母さんの顔も知らないし、私が知っているお母さんはいつも病院のベッドで目を閉じている顔。いくらセイラさんがいい人でお父さんが好きになった人でも、私はお母さんとは呼べない。」

ミレの気持ちも判るし、お母さんと呼びたくても呼んだ記憶の無いフィマンにしたら、一度でいいから「お母さん」と口に出したいかもしれない。

スンスクが困った顔をしているのをミレは知っているが、スンスクが亡き妻を忘れないでいるのなら、ミレも亡き母を忘れる事は出来なかった。

「セイラさん、気を悪くしないでください。私にとってお母さんは一人だけ。お父さんと結婚してもお母さんとは呼べない。」

セイラも覚悟はしていた。

幼い子供なら『私がお母さんよ』と言えばすぐに懐いてくれるかもしれないが、16歳と13歳になったらいくら亡くなって年数が経っていたにしても、自分達を育ててくれたわけじゃなく、血の繋がる母親には叶う事はない。

「無理に呼ばなくてもいいわ。子供にしたらお母さんもお父さんも一人だから。」

多少寂しい気もあるが、スンスクとの結婚は認めないと言われたわけではないから、それはそれでいいとセイラはそう思い、隣に座っているスンスクの手をギュッと握った。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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