スンスクの春恋(スンスク) 148

身の回りにいる女性によって自分が変わって行くとは思ってもいなかった。

ミラの時は確かに背伸びをしていたのは否めない。

自分は4歳も歳が下で、ミラは進行性の病気を患っているから、自分が守ってあげなければいけない。

そう思っていた。

同情とかではなく、本当にミラを愛していると思っていたが、ミラが亡くなって13年以上他の女性と付き合いをしたいとも思わなかった。

お父さんは、僕たちペク家の息子たちの好きなタイプの女性が、オ・ハニと言う僕たちの母だと言う事を知っていたから、ソン教授の娘であるセイラと僕を見合いさせたのだろう。

確かに助手席に座るセイラは、元気で病気もした事がなさそうなくらいに元気だ。

笑った顔はお母さんの若い頃の写真で見るのと同じように、ドキドキするくらいに明るくて、肩にのしかかっている重い物まで取り払ってくれるような感じがした。

「セイラ、ミラのお墓はここだよ。」

ここにお母さんやミラの実家の母と、ミレ以外の女性を連れて来たのは初めてだ。

少し照れ臭い気もするが、僕は跪いて両手を合わせて目を閉じた。

膝を付けば、少しでもミラに近くなるような気がしてずっとこうしている。

それに、合わせるようにセイラも細くて綺麗な足を曲げて、僕と同じように膝を地面に着けた。

綺麗なスカートに泥が付くのも気にしないで。

「ミラさん、あなたの愛したスンスクさんの婚約者のソン・セイラです。スンスクさんはとてもミラさんを愛していらした事も判っています。命を懸けて生んだあなたの大切な二人のお子様も、とても素直ないい子に育っています。ミラさんには叶う事がないと判っていますが、ミラさんの命を受け継いだ二人のお子様の母になる事を決めて、あなたが愛したスンスクさんと結婚する事になりました。私にいたらない事がないように雲の上から私を見ていてください。あなたの想いを少しでも叶えてあげられるように、最期の時までスンスクさんを支えて行きます。」

セイラのその言葉が、この世にもういないミラにも届いたのか、スンスクとセイラは揃って同じ空間を見ていた。

スンスク、もう一度恋をしてくれてありがとう

私の心残りは、二人の子供の成長を見られない事だけじゃなく

貴方とずっと一緒にいられなかった事

私の事を忘れてしまうのは淋しいけれど

貴方が私と出会った時のように、一人の女性だけを見て笑顔になってくれるのを

ただ願うだけ

もう誰にも言えない事があった時に、私に話しに来る事が無いように、セイラさんと幸せになってね

ずっとずっとスンスクを愛しているから

風の乗って聞こえて来たミラの声は、風の様にスンスクの耳元を通り過ぎて消えて行った。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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