スンスクの春恋(スンスク) 157
リビングのソファーでぐったりとしているハニは、まるで気力を無くしているような感じがする。
グミが天寿を全うして他界してから、双子のスングが日本人と結婚して、あまり帰国する事が出来なく元気もなかった。
「おばあちゃん、具合が悪いの?」
「疲れちゃったの・・・・少しだけこうしていたらすぐに良くなるから。」
「顔が赤いけど、熱があるんじゃない?」
ゴホンゴホンと咳き込んで話す事も出来ない。
フィマンはハニの様子がおかしい事が心配になり、スンジョがいる書斎のドアをノックした。
「おじいちゃん・・・フィマンだけど・・・・」
「いいよ。」
ハニの淹れたコーヒーを飲みながら、スンジョはパラン大病院の医師から来た質問のメールに返信をしていた。
大学を辞めてハニと二人で自宅で過ごしていても、まだスンジョを頼って質問をして来る医師が多い。
「どうかしたのか?」
「うん・・・・・おばあちゃんが、変・・・・・」
「変?」
「赤い顔をして、苦しそうに咳をしてぐったりしている。」
「ぐったりしている?」
昨日の夜から熱がある感じはしていたが、一週間ほど前に引いた風邪がなかなか治り切らない事を心配していた。
スンジョは机の引き出しに入れてある聴診器を取り出して、フィマンと一緒にリビングに向かった。
「体温は測ったのか?」
「測っていない・・・・すぐに良くなるから。」
そう言いながらも、何か話すたびに咳き込んでいた。
咳が治まるのを待って、スンジョは聴診器をハニの胸に当てた。
「まずいな・・・・肺炎に罹っている。フィマン、おばあちゃんに体温計を渡して測るように言ってくれないか?救急車を呼んで病院に運んでもらうから。」
フィマンはスンスクが転勤してからは、大学受験間際のミレの代わりに、グミが亡くなってから元気がないハニを心配して家にいる時はいつも傍にいる。
「スンジョ君・・・・大丈夫・・・スンスクがセイラさんと赤ちゃんを連れて帰って来るから・・・・」
「そんな状態で、まだ生後間もないシシリーに会うのは無理だ。治ったらいつでも会えるから。」
スンスクは結局、転勤3年目にパラン高校に戻る事をしないで、そのままパラン高校姉妹校の校長になる事にした。
理由は、転勤3年目で再婚3年目になる少し前に、セイラが妊娠をしてツワリが酷くてそのまま、転勤先の学校の近くの病院に入院をしてしまったから。
産後もあまり体調が良くなく、セイラは実家に暫くいる事になっていた。
今日はセイラが実家に行くその前に、スンジョとハニとミレとフィマンに、生まれた妹を会わせるために寄る事になっていた。
「ハニ、すぐに良くなるから。」
両親が他界して、寂しい気持ちもあったが、ハニの具合が良くない事に人生で初めて不安になって来た。
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