スンギはミルクティー 1
カラン~
「いらっ・・・・・スンギか。どうした元気がないな。」
「うん・・・・・・」
パラン高校の制服を着た背の高い少年が、俯きながら【ソ・パルボクククス】の店に入って来た。
少年の名前はペク・スンギ。
高校生にしては幼い顔をした少年だ。
「どうした?家に帰らないのか?」
ククスの店主、オ・ギドンは元気のないスンギの理由は大体見当がついていた。
「ほら、温かいお茶でも飲んで、じいちゃんが話を聞いてやるよ。」
スンギは、カウンター席に座った途端に大きなため息を吐いた。
「テスト、ダメだったのか?」
「うん・・・・・・・スンハ姉さんもスンリ兄さんもスンミ姉さんもスンスク兄さんも、みんな学年トップだったからね・・・・先生もオレには気を使って何も言わないけど、『天才ペク家の足を引っ張るスンギ』って、先生も生徒も僕の事を陰でそう言っているんだ。」
学年末テストの結果で、三年のクラスが決まる。 中学からずっと7クラス。
きっと高校三年も、7クラスだろうな。
「ほら、熱い紅茶だ。イギリスのジュングおじさんからスンギの好きな紅茶を送って来てくれたぞ。」
大きめのマグカップに半分ほど淹れられた紅茶と、別のマグカップに入っている温めた牛乳に、小さな器に入っている練乳を乗せたトレイがスンギの目の前に置かれた。
「じいちゃん・・・・練乳、もう少し欲しいな。」
「それだけにしておきなさい。甘過ぎて飲めなくなるぞ。」
「甘い物は、脳を活性化するけど摂り過ぎたらいけないんだよな・・・・・・・・」
「へぇースンギは頭が良いなぁ・・・・じぃちゃんは知らなかったよ。」
「嫌味かよ・・・・・・・成績の平均は良くて65点。最下位クラスでは上位だけど、学年全体では後ろから数えた方が早いくらいだ。この間も数学で悩んでいたら、小学生のスングがサラッと解いちゃった。情けないよ・・・・オレ・・・・高校辞めようかな・・・・勉強は好きじゃないし、どうせ大学に行けるかどうかも判んない。」
優秀な父に優秀な兄と姉たち。
その優秀な身内に比べられて、スンギは自分に自信を持てなかった。
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