あなたに逢いたくて 32

「ハニちゃんが、ソウルにいる時になぜ言わなかったの?ハニちゃんやギドンさんが合わせないと言っても、ママとパパで説得をしてあげたのに。」

「言えないじゃないか・・・・・成人した男が親に恋愛のことで助けて欲しいなんて言える訳がない。それに、当たり前だけどハニはオレを避けていたし、オレが見合いをしたことは大学中に知られていたんだ。ハニがオレに片思いだと誰もが思っていたから・・・・・・でも、ずっとハニがオレをどこからか見ていたのは気づいていた。」

視線を感じて探すけど、そちらを見てもその周辺を目で追ってもハニの姿は見つけられなかった。

医学部は一日休んでも勉強がかなり遅れてしまう。

親父が倒れてから半年くらい休学していたから、想像もつかないくらいに勉強が遅れていて、人の何杯も勉強をしなければならなかった。

その日に進んだ単元は、授業中に集中をしているから、家に帰ってから復讐をするだけでもいいが、休んでいる間に進んだ単元は自力で覚えて行かないといけないし、判らない所は後期で出来る物は後期で頼み込んで授業を受けさせてもらった。

オレの夢はハニの夢でもあったから、夢を実現させればハニにいつか会えると信じて、ただひたすら勉強をしていた。

「スンジョ・・・・こんなこと聞いてもいいかしら?ハニちゃんと結婚するつもりだったのよね?あなた達って・・・・・・その・・・・・することしたの?」

「ママァ~そんなこと聞いてどうするんだ?二人とも大人なんだ、結婚を前提にしているのなら、それなりの事をしていてもいいじゃないか。」

抑えようとしているスチャンの手を振り払って、更にグミは身を乗り出した。

「最後にハニちゃんを見かけた時に・・・・もしかしたら・・・ハニちゃん・・・・お腹に赤ちゃんがいるのじゃないかって思ったの・・・・・・・女の感よ・・・・・・」

「まさか・・・・・・ちゃんと、避妊を考えていたから・・・・99%はないはずだ。」

「でも、1%は判らないわよね・・・・・ギドンさんに<ハニちゃん元気?>って聞くと、いつも<元気です>と言うけど、絶対に会わせてくれないし、居場所も教えてくれないのが気になるのよ・・・・・・最後に、ハニちゃんの姿を見かけた時、お腹に手を当てて立っていたのは間違いないと思うけど・・・・自然と妊婦はそんな姿勢をするものなのよ・・・・」

「ママ、確かめようにも。肝心なハニちゃんの居場所を教えてもらえないのじゃ仕方がないだろう。ギドンが何も言わないのも・・・その・・・・・ただ言わないだけかもしれない。もし、ハニちゃんが妊娠をしているのなら、言うはずだから。」

「キム先生、ありがとうございます。」

「ハニ、礼なんか言わんで良いよ。全くこの先生は・・・・頼りがないんだから。結局私が取り上げたようなもんだよ。任期が済んで自分の家の病院を継いだら、こんな機会ないだろ。」

「なくてもいいですよ。うちの病院はないかですから、子供を取り上げる事も、妊婦の検診もしませんから。」

気弱そうなキム先生は、ギミに言われっぱなしだった。

「ほれ!!先生、この部屋から出てくれんかね。ハニが赤ん坊にオッパイやるんだから。それと、言っとくけど可愛い孫の再婚相手にはあんたをとてもじゃないけど推薦できないからね。大事な孫の再婚相手にはあんたみたいに頼りのない医者じゃ安心が出来ないんでね!」

「ギミさん・・・・・約束をしたわけじゃなく、ご自分がおっしゃっただけじゃないですか。」

キム・ジョンスは聞く耳持たないギミの言葉に、結婚すると言う意思があったわけではないが、仄かに思いを寄せていたから、ガックリと肩を落として、ハニの部屋から出て行った。

「おばあちゃん・・・・私、結婚なんて・・・・・」

「判ってる・・・忘れられないんだろ。だけど、この子の為にも、いつかは考えないとな。女一人で育てるのは今の時代大変だ。大学も出さないといけないし、こんな田舎に籠っても何にもならない。時が来たらソウルへ戻れ。その時は相手もハニの事を覚えていないだろう・・・さあ、赤ん坊はこうやって抱くんだよ。」

産まれたばかりの子供を、祖母のギミから受け取り、そっと胸に抱くと温かくて柔らかな我が子に涙が出て来た。

「軽いね・・・・こんなにちっちゃいのに・・・温かくて頑張って生きている・・・」

産まれたばかりでも、母親がわかるのか乳房を求めて可愛らしい口を開けていた。

産まれが子が乳房を口に含むと、ハニの張り詰めた乳房に心地よい感触が伝わった。

全身に力を入れて、一生懸命に飲んでいる我が子の顔を見て、不安はあったが大好きなスンジョの子供を産むことが出来て、母としての幸せを感じていた。

「この子は頭がいい子だ。最初から上手に乳を飲んでるじゃないか。それに、産まれたばかりなのにこんなに綺麗な顔の赤ん坊は本当に初めてだ。いっぱい飲んで早くオンマを助けてやるんだぞ。」

ハニは、抱いている自分の子供が、小さな手で触れている自分の胸を見て、ふっと高校生の時にスンジョに言われたことを思い出した。

<そんなに貧乳で子供が育てられるのか?>

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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