スンギはミルクティー 22
明日、中央広場のベンチで会おう
この短い、気持ちも伝わる事のないメッセージを送るのに何度も削除したり、入力したりとバカみたいに繰り返した。
考えてみれば、いつもマリーの方から長い文面のメールを貰って、返信は短い文面で返していた。
こちらからは一度もメッセージを送信したこともなく、自分の気持ちを伝えたこともなかった。
「お兄ちゃん?送信しないの?」
「あ・・・・うん・・・あっ・・」
ボウッとしている間に部屋に入って来たスングに声を掛けられ、驚いて送信してしまった。
取り消したくても送ってしまったら、どうすることも出来ない。
「送っちゃったよ・・・・・」
「いいじゃん、どうせマリーさんに送ったんでしょ?」
「どうしてマリーなんだよ。」
「だって、マリーさんってお兄ちゃんの彼女でしょ?」
周囲から見ればそうなんだろうな。
高校の時から傍にマリーがいるから、付き合っていると思われているのも確かだ。
弟に怒っても仕方がない。
何もたかがメールを送るだけで一時間も迷っている必要などないのだから。
「何か用だった?」
「これ・・・・・前にマリーさんが持って来てくれたのを忘れていた。」
スングが手にしていた小さな紙袋を受け取って、中の箱を出すとまたその箱にはマリーらしくリボンが掛けられていた。
「お兄ちゃんの誕生日の日に持って来てくれたよ。開けてみてよ。」
人の物が気になるスングは、スンギがリボンを解くと、何か期待するように見ていた。
箱の中にはシガレットケースとオイルライターが入っていた。
それに添えられた手紙には、活字の様に綺麗に書かれた文字が斜めになることなく書かれていた。
「誕生日おめでとう。今年こそはペアリングを贈りたかったけど、スンギはきっと贈っても嵌めてくれないからシガレットケースとオイルライターに名前を刻んでもらったよ。身体の為に沢山吸わないでね♡でもね・・・・憧れは、キスの後に残るタバコの香り・・・・・恥かしいけど、イギリスにいる時に見た映画のワンシーンに憧れているの。いつかスンギと恋人みたいなキスがしたいな。凄く凄くスンギとキスがしたいのに、私がキスしようと思っている時は、スンギは甘いミルクティーを飲んでいるから、そのタイミングを待っているね。でも、スンギからではなくて私からのキスよ。」
何、夢みたいなことを書いているんだよ。
オレとマリーは付き合っている訳じゃないんだから、勝手な事を言わないでほしいな。
声に出して手紙を読まないでいたら、何かを期待していたスングは諦めて部屋を出て行った。
それと同時に、マリーから返信が来た。
私も話があるから会いたかった
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