スンギはミルクティー 23
スンリ兄さんには聞けなくても、スンスク兄さんには聞きたいことは聞ける。
どうしてなのか・・・・スンリ兄さんは歳が離れているのもあるけど、まるでお父さんを見ているみたいに自分の事に自信を持っているから。
スンスク兄さんは物静かで、小さな本当にくだらない事でも優しく答えてくれる。
「おはよう。」
「おはよう。」
最近痩せてお父さんと似て来たスンスク兄さん。
ミラ義姉さんの看病とミレの子育てと、来年教師として教壇に立つために教育実習の資料作りで疲れているのに、朝からスンスク兄さんの笑顔は温かくてすごく気持ちが楽になる。
「昨日・・・・・ありがとう・・・・・・」
「何が?」
「その・・・・・・・キス・・・・・・」
「お父さんやお母さんには聞けない事だからね。小学生のスングとスアにも聞けないし。なんでも聞いてくれていいよ。スンリ兄さんみたいに、沢山の女の子と付き合っていないけど、その・・・・兄として教えることがあれば教えるよ。」
「ありがとう・・・・・今日、マリーと話をして来るよ。」
「自分の気持ちに素直になればいいよ。」
スンスクは、弟スンギの方をポンと叩いて、ダイニングにいる両親と祖母に挨拶をして家を出て行っ
た。
「スンギ、ミルクティーを作るから待っていてね。」
ハニはスンギのミルクティーを作るため、急いでキッチンに立って行った。
いつもの朝と変わらないペク家の光景。
スングとスアは既に小学校に行き、ダイニングテーブルには父が新聞を読みながらジャムトーストを食べていた。
昨日の夜の母との話を聞いて、いつも本か新聞を読んでいる父が、どんな風に自分を見ていたのかと気になった。
「お待たせ、スンギのトーストとサラダよ。」
祖母のグミはいつも若々しくて歳を感じさせない。
嫁のハニとは実の親子のように、仲が良いからなのかよく似ていて仲がいい。
「スンギ、大学がつまらないのか?」
「お父さん・・・・・・」
「成績は悪くないが、講義に身が入ってないみたいだとイ・チョルス教授が言っていた。」
「いえ・・・・・チョッと・・・・考えることがあって。」
「そうか・・・悩みが有ったらスンスクでもお父さんでもいいから話しなさい。」
「はい・・・・・」
お父さんには言えない。
人生一度も間違ったことが無かったお父さんには、オレのこのスッキリとしない心の中を話せることが出来ない。
スンギは、父の視線を感じながらトーストを食べた。
よく話をする子供だったスンギも、思春期が近づいたころから口数も少なくなっていた。
スンジョは、自分の殻に閉じこもっていた高校生の頃の自分を思い出していた。
「スンギ・・・・マリーと何かあったのかな?二人はお似合いなのに・・・こんなことになるなんて・・・・」
「お前もお袋に似て来たな、息子の恋愛が気になって。」
「だって・・・・・急にマリーが店の二階から出て行くって聞けば心配になるじゃない。」
「そうだな。ジュングがこっちに帰国するのが急に決まったからな。」
昨晩、ギドンからマリーが店の二階を出て、両親と近くのマンションに住むことになったと聞いた。
ジュング達が帰国してからのはずが、いきなりギドンが店に帰った夜の9時にマリーから聞かされたと電話が掛って来た。
スンギと一緒にいたから、何か二人にあったのかと心配しての事だった。
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