スンギはミルクティー 29
マリーがあの彼氏と別れたと言った後は、妙な空気が一瞬流れた。
そりゃあそうだろう、オレがあんな事をマリーにしたと言ったから。
「スンギ、マリーに変な事をしたの?」
「へ・・・変な事って・・・・オレの可愛い娘に何をしたんだ。傷物にしたのか?」
「傷物ってパパ、私だっていけないんだから。スンギを怒らないで。」
マリーが言った『あんな事』発言が、どうも両方の親には違ったようにとられた。
ただ一人、スンジョだけは他の三人の親とは違っていた。
「結婚しちゃえばいいじゃないの。どうせマリーは彼氏と別れたって言うし、スンギ君さえよければうちのマリーを貰ってよ。一緒にお風呂に入った仲だしぃ。」
マリーのお母さんのクリスおばさんは、オレのお母さんと似ているからこの二人が話し出すと、よく話すジュングおじさんが負けてしまう。
お父さんだけは、何か言うわけでもなくいつもその様子を見ているだけだ。
「ママ、一緒にお風呂に入ったって、あれは幼稚園の時の事で、スンギは彼女がいるのよ。」
「彼女って・・・・あの年上の人?」 ミ
ンの事はお母さんは好きじゃなかった。
ちょっと派手で、オレと一緒にタバコを吸って酒を飲むから。
それでもミンとの付き合いは他の女の子と比べたら一番長かった。
他の女の子と言うより、ミンと付き合っているのに複数の女の子と付き合っていただけ。
「それなら、別れたら?うちのマリーも彼氏と別れたから。」
「ママ、そんな事を・・・・・スンギにそんな事を言ったら・・・・・・」
「オレも、別れて来た。マリーに言いたい事があって。」
親の前で言うのも言いにくい事だし、かといってどこかに連れ出せる雰囲気ではない。
「言いたい事?」
「いや・・・・そ・・・・」
素直に言えないから、3年前に振られた。 振られるのが怖いわけじゃないけど、両親がいるこの空間で言うのはさすがに言いにくい。
スンリ兄さんから話には聞いていたけど、お父さんは親の前で結婚宣言をした。
それに比べたらオレが今から言おうとしている事は、そこまで大変な事でもないから素直になっても
う一度言ってみようか?
「タバコとアルコールは止めるから、オレと・・・・・・オレの・・・・・・」
マリーのキラキラ光るガラス玉のような目がこっちを見ている。 あの目は、オレの言う事を期待して
いる事だとよく判る。
言葉が出て来ない・・・ちくしょう!
オレの身体にはペク・スンジョとオ・ハニの血が流れているのだから言えるはずだ。
「オレと散歩に行かないか?」
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