スンギはミルクティー 32
「嫌・・・・・昔と同じように出来ない。」
いい返事を待っていたけど、はっきりとそう言われると今度は立ち直れないかもしれない。
マリーは今日再会した時に、一瞬嬉しそうな顔をしていたし多少大丈夫だという気持ちもあった。
女なら泣くところがだ、オレは男だし泣く事は出来ない。
「そうか・・・・判ったよ・・・今言った事は、気にしなくていいから。」
「そんなにあっさりと諦める事が出来る人だったの?」
「マリー?」
「昔と同じように出来るわけないじゃないの・・・・だってスンギが何人もの女の子と付き合っていたのは知ってるのよ。たった二年の間に、何人の女の子と付き合っていたのか知っているの。」
ショックだった。 オレがマリーから離れている期間に付き合っていた女の事を知っていたのを聞かされとは思わなかった。 有名だったかもしれない。 手短な大学の中の女と付き合っていたから、知られても仕方が無いのかもしれない。
「その女の子たちが私がスンギの傍にいる事に対して、嫌がらせとかしないと言い切れないでしょ?」
「大丈夫だよ、ちゃんと話して別れているから、マリーに嫌がらせをしたりしない。」
「それに、私もその女の子たちと同じように、飽きたら捨てられるかもしれない。」
「捨てないよ。二年間の思いは永遠に続ける自信があるから。」
マリーはスンギを少しだけ、苛めたくなってきた。
小さい頃にはこうしてよくスンギを苛めては泣かせて面白がっていたし、付き合っていた女の子たちが自分がスンギと付き合うようになって嫌がらせをしない事は判っていた。
なぜなら、その女の子たちは皆スンギと別れた後に別の人と付き合っている人が多いから。
「ありがとう。私への想いが永遠に続くかどうかなんて先の事なんて誰も判らない。でもスンギに直して欲しい所・・・・・・・スンギは自分で思っているほど、他の兄妹よりも劣っているところなんてないよ。スンギはむしろ他の兄妹よりも優しくて、傷付きやすいから強く出ることが出来ないだけ。もっと自信を持って、自分を信じてくれるのならスンギの傍にいさせて。」
親たちは、一時間以上も帰って来ないスンギとマリーを心配していた。
勿論スンジョはスンギを信じているし、あまり心配をしていないわけではないが落ち着いていた。
「ただいま。」
「お帰りなさい。」
家を出る時と妙に違う二人の表情に、意外にもマリーの父のジュングが何かを感じた。
頬を染めて目がキラキラと輝き、少し息を切らしている娘がスンギに何かされたのではないかと思っ
た。
「ペク・スンギ!」
「何でしょうか?」
「うちの可愛いマリーに変な事はしていないだろうな。」
「パパ!」
「変な事ですか?」
ジュングだけじゃなくマリーの母クリスと自分の母が、二人が何をして何を話して来たのか気になる目で自分を見ていることに気が付いた。
「あ~変な事・・・・・・・して来たと言っていいのかな・・・・・」
「私たちには変な事じゃないけど、パパたちには変なことかもしれないね。」
家を出る時とは違ってお互いを見つめ合って話す様子に、三人の大人たちは気になって仕方が無かっ
た。
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