スンギはミルクティー 35
「まだ寝ないの?スンジョ君。」
長い髪を束ねたハニが、するするっとベッドの中に入って来た。
「ん・・・・・寝るか・・・・・」
読んでいた本を閉じてスタンド電気を消すと、結婚以来続いている習慣でハニを腕枕をして胸に抱き
寄せた。
「また家族が増えるな・・・・・・・」
「えっ?私はとてもじゃないけど、もう子供は生めないわ。」
「当たり前だよ。オレ達には孫が5人もいるんだからな。」
ハニのおでこにキスをすると、腕枕していた腕を外して頭の下にその腕を入れて仰向けになった。 「スンギがマリーと結婚したら複雑だな・・・・・・」
「どうして?」
「ジュングは今でこそクリスとラブラブだが、オレの知らないハニを知っていると思うと・・・・・」
「焼きもち?」
「はは・・・・・そうかもな・・・今でもお前とジュングは昔と変わらない接し方だし・・・それに・・・・」
「それに?」
スンジョはまたハニの方を向いて、今度は自分の顔を見られないようにきつく抱きしめた。
「オレ以外でハニにプロポーズをした男だしな・・・・結局はジュングとは親戚になるけど・・・・・・あの甘えん坊のスンギが、結婚を口にするとはな・・・・・・・」
店の後継者がいない義理の父ギドンの店に、孫のスンギが跡を継ぐと言えばきっと喜ぶだろう。
スンギは小さい頃から食に興味があり、一番最初に作ったのはサンドイッチだった。
一生懸命に包丁できゅうりをスライスし、手だけじゃなく髪の毛にもマヨネーズを付けて作ってくれた温かいサンドイッチ。
中に挟んだ玉子焼きも、母親のハニが作るよりも上手く出来ていた。
長女のスンハが結婚して、遅くに生まれた双子のスングとスアが生まれた頃が一番子育てが大変な時に、ハニを助けてあげる事が出来なかった。
あの頃にもう少しスンギをかまってあげていれば、タバコやアルコールに何人も付き合った女性に逃げることもなかったのではないかとスンジョはいつも思っていた。
親が手を貸せば一番親も子も楽かもしれないが、人に迷惑をかけたり命の危険が無い限り自力でその苦しみから抜け出させたかった。
スンギはスンハやスンリとスンミにスンスクとは違って、自分から物事を決める事が苦手だった。
スングとスアが生まれるまでは、末っ子で兄や姉に祖母や母が何も聞かなくてもやってくれていたから、双子の弟と妹が生まれてからは、淋しかったのだと思った。
「お袋には、スンギとマリーの事・・・・・・・・・寝たのか・・・・」
自分たちばかりではなく、子供たちもグミの勝手な行動にこちらの意志とは反対に結婚を急がせられ
た。
「スンギも早い結婚になるのかな・・・・・・今回はオレも口出すか・・・・・・・」
スンジョは眠っているハニの唇にキスをして目を閉じた。
0コメント