スンギはミルクティー 55
ハニが用意したミルクティーを持って、マリーはスンギの部屋に入った。
前に入った時はスンスクと一緒の部屋で、部屋に入るとホッコリとした笑顔のスンスクがマリーを迎えてくれた。
今はスンスクの机やベッドが置いてあった場所に、ソファーとミニテーブルが置かれている。
スンギと結婚したら、この部屋で過ごすのね・・・・
そんなことを思ったら、胸がドキドキと緊張してきた。
「マリー?」
「あっ!・・・・おばさんに頼まれてミルクティーを持って来たの。」
頭を押さえながら起き上るスンギは、まだ具合が悪いのかいつもの笑顔は無かった。
「ありがと・・・・・・今日一日で何杯飲ませる気なんだよ・・・お母さんの考えていることがよく判らないよ。」
「何杯って・・・・おばさんが入れたミルクティーが好きだったじゃない。」
「好きだよ・・・・熱で食欲が無いからと言ったら、ご飯代わりにって言って10分間隔で持って来られちゃ・・・・・腹に力が入るたびに、胃から逆流してくるよ。」
おばさんらしいと言えばらしいね。
うちのパパなら、水分より栄養になるからとか言って、食べきれないほどの料理を出してくれる。
一生懸命なんだよね、私のパパと同じようにおばさんはスンギが好きだからしてくれている事。
そんな思いが判るから、スンギは用意されたミルクティーを文句を言いながらも飲んでいた。
「まだ、熱が高いの?」
「ちょっとな・・・」
「汗を掻いたら、着替えないといけないよ。」
「判ってる。」
「身体を拭いてあげようか・・・・・」
「いっ!・・・いいよ・・・結婚もしていないのに男の身体を拭くのか?前の男にもそんなことをしたの・・・・・・」
言ってはいけない事だった。
スンギは気持ちが通じると、意識して行ってはいけないこと判っていることを言葉にしてしまう。
マリーの顔が変わったことに気が付いて、言葉にするのを止めた。
「悪い・・・・冗談だから・・・・」
「・・・・・ヨンダルとは・・・プロポーズをされたけど、身体は拭いていないわ。」
「ゴメン・・・・」
スンギにしても、前に付き合っていた女のことを聞かれるのは嫌だったが、それが判っているのに聞いてしまったことを後悔した。
「秘密にして後からもめるといけないから先に言っておく。」
「何を?」
「オレ・・・・マリーと別れた後に付き合った女・・・・沢山いるんだ。」
「知ってる・・・噂で聞いていたから・・」
「沢山って・・・何人だと聞いた?」
「そんなことを聞くの?・・・・・・・・3人・・・・・」
「もっといるかも・・・・」
「うそ・・・・」
「ひと月も続かなかった女もいるけど、一番続いたのがマリーと再会した時に一緒にいたミン・・・・スンリ兄さんに近づきたくてオレと付き合ったけど・・・二股もあったし三股もあった・・・・でも、綺麗に別れたから・・・つもり・・・・」
マリーもスンギが付き合っていた人の話は聞くのは嫌だったが、気になったら聞きたくなる性格。
我慢しきれずに思い切って聞いてみる事にした。
「その・・・・したの?・・・・キス以上の・・・エ・・・・・チ・・」
「ま・・・それは・・・・・・・・・・した・・・」
「複雑だな、聞かなきゃよかったけど聞いちゃうと、私は経験していないから前に付き合った人と比べられたら、スンギをガッカリさせちゃいそうで・・・・・」
「いいよ、そんなことは。オレはマリーとはもうやり直せないと思ってヤケクソだったから。比べたりしないし、マリーがオレの傍にいるだけでいいから。」
「本当?」
「本当だ。マリーの良い所も悪い所も好きだから。でもさ・・・・オレ、プロポーズしたところの記憶がぶっ飛んでる。」
恥ずかしそうに言うスンギの頬をマリーは抓った。
「痛ぇなぁ~」
「ちょっとムカつくけど、一生に一度の事を忘れるなんて酷い。」
「マリーは2度目だろう。オレは初めて言ったからな。」
「スンギの方が酷いでしょう、何人もの人とHしたのだから。」
前ならそこで大喧嘩になるところだったが、お互いが後悔していたり忘れたいことを話したことで、秘密が無くなったせいか、安心してクスッと笑い合った。
「部屋の鍵を閉めて・・・するか?お袋が部屋に入っていいと言ったから。」
「調子に乗り過ぎよ!私は結婚するまで待てるから。」
「本当かな?スンハ姉さんもスンリ兄さんもスンミ姉さんも3人ともデキ婚だからオレも判んないかも・・・・」
冗談が言えるようになったスンギは、マリーが見舞いに来てくれたことでどうやら熱が下がったようだった。
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