あなたに逢いたくて 40
「おじさん、また来ます。」
スンジョは、ギドンに頭を下げて店を出た。
ギドンも、今まで人に頭を下げたりする事などなかったであろうスンジョが、何度もハニの居場所を聞きに来るのをいつまでも拒む自信はなかった。
ギミから、赴任しているキム・ジョンスが、ハニに思いを寄せている事、人柄や仕事ぶりを聞き、出来ればジョンスのような普通の男と幸せになって欲しいと思っていた。
「おい!ペク・スンジョ。」
今日も居場所を聞き出すことが出来ず、ハニを早く探しだしたいと焦る
気持ちを押さえて店を出た時、裏口からスンジョに話がしたくて出て来たジュングに呼び止められた。
「ジュング・・・」
「本当は、お前になんぞに、教えたくなんかないけど、ひとつだけ教えたるわ。」
ジュングがギドンに見えないように、店の中の様子を伺いながらスンジョを少し店から離れた所にある物陰に連れて行った。
「ハニの居場所のことだ。オレはまだ見習いだから、絶対に言ってはいけないと言われているハニの居場所を教えたのがバレて、シェフを裏切ってここを辞めとうないんだ。あの天下の人を人として見ない冷徹男のペク・スンジョが、頭を下げている姿を見て情けなくて仕方がない。ハニが好きになった男の情けない姿を見ておれんから言うんだ、シェフには言わんでくれよ。」
「言わない・・・・・」
見下していたジュングに、情けないとまで言われても、どんなことをしてもハニのいる場所を知りたかった。
ジュングは、店から離れた場所だと判っていても、近くに誰もいない事を確認をしてスンジョの耳元で囁いた。
「ハニは看護大に行ってるんだ。大学の看護学部じゃなくて、看護大だ。」
看護大?
「何や知らんけど、看護師になりたいと言っておった。自分の夢は看護師になることだと・・・・・どこの看護大かは知ってるけど、ここまで教えてやったからホンマにハニのことが好きなら後は自分で大学の名前は探せ。」
___スンジョ君がパイロットなら私は客室乗務員、プロゴルファーならキャディー、医者なら薬剤師・・・ううんいつも一緒にいられる看護師・・・・・私の夢ってそんななの。スンジョ君中心で動いているの・・・・・・・
スンジョ君が笑うと私も笑えるし、スンジョ君が悲しければ私も悲しくて・・・・・・
私はスンジョ君の後ろに付いてる陰みたいな物なの・・・・・・決してスンジョ君の前に出る事は出来ないの。だって、スンジョ君は私の太陽なんだから________
探せる、看護大ならこの国にいくつあるのか判らない大学の看護学部で調べるより数がはるかに少ない。
スンジョはジュングと別れて、急いで自分の住んでいるマンションに戻った。
パソコンを起動して全国の看護大のリストを探した。
全部で10校、そのうちハニが行った方は北の方だ、該当する看護大は5校あった。
スンジョは、リストをプリントアウトして近い所から探し出そうと考えた。
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