言えない恋じゃないけれど(スア) 1
10歳くらいの双子の女の子と男の子が、自分たちと同じように男の子と女の子の双子の赤ちゃんを見ていた。
10歳の子供たちにしてみたら、目の前にいる双子が人生と関わる人とは思ってもいない。
そんな二組の双子を見ている母親たちは、未来など見える訳でもなくただそう口に出しただけ。
「双子同士が結婚したら、私たちの友情は完璧ね。」
母親たちは親友だった。
小さい方の双子の母親は大きい方の母親の双子の母親に、若い頃には恋話をする相手でもあり、落ち込んだ時に励ましてくれていた親友だった。
「ハニ、それはいくらなんでも・・・」
「いいじゃない。そうすれば親戚になるし、この子達の伴侶の心配もしなくてもいいじゃない。」 「もしそうならギルはいいけどキエは年上女房になるわ。1歳や2歳ならともかく、10歳も年上ならキエが可哀想。」
小さい双子の母親の名前はオ・ハニで、大きい方の双子の母親はトッコ・ミナ。
二人は高校時代からの親友で、オ・ハニが実らない恋に悩んでいる時の相談相手の一人だった。
「10年前にね、ミナが不妊治療の末に双子を生んだ時は羨ましかった。」
「双子は大変だよ。一人がお腹を空かせるともう一人もお腹を空かせて泣いて・・・何もかもが同時だから。服や食器類とか必要な物は同じ時にふたつずつ用意しないといけないから。」
「そうかもしれないけど、出産を一度で済ませられるじゃない。今まで、5回お産をしたけど眠れないほどの陣痛はこりごり。」
そうは言ってもハニは双子を生むのに何も苦しまなかったわけではなかった。
既に何人もの子供を生んでいた事と、年齢を考えて絶対安静の為に早くから入院をして過ごしていた。
あの時に思っていた事は実現することは出来なくなった。
ミナの双子のうち、女の子であるキエが結婚すると言う話を聞いたから。
「ねぇ、スンジョ君。夢が壊れた・・・・ミナの双子と私の双子たちが結婚したらいいのにって・・・話合ったのに、キエが結婚しちゃうんだよ。」
「朝から何度言っているんだよ。子供の恋愛に親が関わることはないだろう。恋愛くらい自由にしてやれよ。」
ハニだって判っていたが、時間を気にしないでお互いの家に泊まり込んで話しをしたいと思っていた。
「若い母親みたいな事を言ってるなよ。自分の初孫とスングとスアは同じ年だぞ。」
そう、ハニとスンジョの間に生まれた双子は、娘スンハの子供と同じ日に生まれた。
経産婦で早くに生まれた双子は、体重も軽く小さかったから、ハニが退院後も新生児室の住人となっていた。
毎日病院に授乳の為に通ったのは今から10数年前の事。
あの時生まれた双子は、今朝目の前でパラン高校の制服を着て玄関を出て行った。
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