言えない恋じゃないけれど(スア) 7
ギルさんが好きになった女性(ひと)が・・・私・・・・・
「うそ・・・・・・」
「うそか・・・・・・オレも自分で信じられなかったよ。お袋の仕事部屋に来始めた頃のスアはまだ小学生で、ただの妹くらいにしか思っていなかったけど、年齢の割に博学だし・・・・10も年下なのに、子供っぽく見えなくて・・・・ハハ・・・結構前から好きだった。」
大人なギルからの告白に、ドキドキよりも今自分がどこにいるのかも分からなくなりそうだった。
「でも・・・・いつから?」
「最初から・・・・随分と悩んだよ。オレはロリコンか・・・・とね。一応自分の年齢に会う相手と付き合ったし、それなりの恋愛もしたよ。この間別れた彼女と結婚も考えたけど・・・・・・いい年なんだから、スアが相手にするとは思っていない事も判ってた。」
どう答えて良いのかスアは迷っていた。 自分がギルの事を好きになったのは、つい最近の事。
ギルと歳の近い兄もいるが、兄妹とは違った大人なギルに高校生になった頃から好きだった。
ミナの新作を見ると言う口実に行っていた事は、スングにも言えない。
「おじさんに好きだと言われたら、遊園地デートも嫌だよね。」
「嫌じゃない・・・嫌じゃないから。ギルさんに彼女が出来るたびに、ご飯も食べられなくなったし、この間の彼女とは結婚するかも知れないとおばさんから聞いたら・・・・本当に辛くて・・・・・だから、遊園地デートして欲しい。」
ギルはスアの肩にかかる長い栗色の髪の毛を後ろに流した。
「オレからの気持ちを聞いたばかりでは二人っきりが嫌だと思うから、スングと一緒においで。近くの駅で今度の日曜日に待っているから。」
カフェでギルからの告白を聞いて家に戻ると、スングの視線が気になって仕方がない。
一応、薬局に行った様に見せる為に生理用品を買ったが、自分の部屋のクローゼットの中に数ヶ月分は入っている。
ドレッサースツールに座り、鏡に映る自分の顔を見た時に、スングが自分の顔を眺めていた理由が判るように、頬が赤く火照っていた。
壁にかかるカレンダーに、日曜日の所に遊園地デートと書きたいけれど、今でも断りもしないでスングが来てはベッドに寝転び本を読むことがある。
母にも知られたくないけれど、当然スングにも知られたくない。
まだ始まったばかりの自分の恋愛を『誰にも知られないように』と、言い聞かせる様に鏡に映るスアを見て頷いた。
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