言えない恋じゃないけれど(スア) 8
スアは、バスタブに並ぶボディーソープ類を眺めていた。
いつも自分が使うのはハニと同じ香りがあまりない商品を使っている。
今までは、ボディーソープやシャンプーなどの香りには興味が無かったが、ギルから気持ちを打ち明けられたら急に今までの子供の自分では、大人のギルには合わない気がして来た。
時々、実家に泊まりに来るスンハのボディーソープ類にスアは目が行った。
「これ・・・・高いんだよね・・・・オンマと私が使っている物よりもゼロが一つ多いと言っていた。」
甘くて大人っぽい香りは、まだ高校生のスアには早いと言っていたが、時々しか帰って来ないから、まだ残っているのに『香りが弱くなった』と言って、スンハは排水溝によく流していた。 「つ・・・・使っちゃえ!医者なのに、香りの強いのはダメだってアッパが言っていたのに・・・・」
まだ化粧もした事のないスアは、スンハのボディーオイルやら化粧水がどこにあるのか考えていた。
スンハ姉さんが使っていた部屋を私が今は使っているから、ドレッサーの中には入っていなかったはず。
バスタブを出て、そっとドアを開けて見ても、脱衣所には誰もいない。
時々、スングがいきなりドアを開けるが、耳を澄ませても足音は聞こえてこない。
洗面台の下の戸を開けると、昔からスンハが使っていたバスケットが見えた。
その中に並ぶ高級化粧品を取り出して、鏡の前に並べた。
鏡に映る自分の姿を見たことは無かったが、これからギルと何かあった時の為にと、身体を傾けたり逸らしたりして眺めた。
「身長173cm・・体重48キロ少々やせ気味だけど・・・・・オンマより胸は大きいわ。ウエストだってキュッとしまっているし・・・ギルが見てもいい身体だと思うわ・・・・・やだ・・私ったら、まだ高校生なのに何を変な事を考えているの?今どきの高校生だって・・・・失敗しなきゃいいのよ・・・そうそう・・・ギルは大人だから大丈夫・・・・」
「何やってんだ、お前・・・・」
「えっ?」
素っ裸で鏡に写っているスアの向こうに、服を着て呆れた顔をしているスングが写っていた。
「見てたの?」
手探りでバスタオルを取って身体を隠すが、スングは何も気にしないで服を脱ぎ始めた。
「な・・・・なにをするの?」
「なにをするって・・・・・服を脱げばすることは一つ。」
「ダメよ、兄妹で・・・・・・」
「お前・・・何か勘違いしているか?風呂に入るんだよ。もうすぐ9時だから眠くなって来たんだよ。いつもはカラスの行水なのに、今日は3時間も入っているぞ。」
スングが脱いだ服がスアの目の前を飛んでいたと思ったら、最後に顔に思いっきり汚れた物が当たった。
「くっさー・・・何よ、パンツを私の顔に掛けなくてもいいでしょう。」
一人でバスタブに浸かっていた時は大人の女になろうと思っていたスアだったが、いきなり入って来たスングにほぼ全裸を見られ、スングが服を脱いで裸になってバスタブに向かう姿を、恥ずかしくも思わないで見ている自分にスアは後悔をしていた。
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