あなたに逢いたくて 42
「どうかしたのかい?ハニ。」
送ってきた封筒を開封して、考え込んでいるハニの様子を心配そうに聞いた。
「ううん、なんでもない。試験会場が、前に通っていたパラン大学だった。」
「それなら、場所を探すことも無いし、雰囲気が判るから安心だな。」
安心・・・・少しは、忘れる事が出来たと思っていたのに、私の中ではまだ全然忘れる事が出来ていなかったのかな?
胸が苦しくて、張り裂けそう。
何も知らないで眠るスンハの頬に顔を使づけて頬擦りすると、その柔かで暖かな感触にスンハのこの先の人生を考えると不憫で涙が流れた。
逢いたい、逢いたいよ・・・・スンジョ君に逢いたい・・・
スンハを連れて、こっそり物陰から見るだけならいいだろうか?
いいよね・・・・声をかけなければわからないよね。
やっとスンハの顔を見て、スンジョ君を思って泣いていた事を、少しだけ抑えることが出来たのに・・・・・・・
パランの文字を見た時に、抑えていたものが外れてしまったみたい・・・・・・
ヘラと一緒にいたらどうしよう・・・・・・ヘラにスンハの事が判ったら・・・・・・
まだ赤ちゃんなのに成長するにつれて、スンジョに似てくるスンハを、もしヘラが見かけたら父親が誰なのかきっと判っちゃうよね。
「スンハ・・・・アッパに逢いたい?オンマね・・・・・オンマは逢いたい・・・・」
ハニが泣いているのに気付いたのか、スンハが昼寝から目覚めた。
「オンマ?・・・・いたいの?」
小さな手でハニの顔を触るスンハを抱きしめて、無理をして抑えていた思いをどうすることも出来なかった。
「ペク・スンジョ!教授が呼んでいたぞ。」
医学部校舎の廊下を歩いていたスンジョは同じグループの仲間にそう声を掛けられて、急いで教授の部屋に行った。
コンコン・・
「ペク・スンジョです。」
一言言葉を掛けてドアを開けると、机に向かって書類を読んでいた教授は顔を上げてスンジョに笑顔を見せた
「おお、来たか。まあ、そこに座りなさい。」
ソン教授は勉強熱心なスンジョを気に入り、自分が大学を廻って講演をする時にはいつも同行させていた。
「来週の週末、空いてるかね?」
来週の週末・・・・・・・ハニを探しにウファ看護大に行く予定だ。
しかし、教授にそんな個人的な理由で断る事は言えない。
ハニがいそうな看護大3校のうち最初に行った所には、ハニはいなかった。残り2校のうち、小規模な看護大でハニが在籍しているのか調べに行く事になっていた。
「空いてます・・・・・・・・・」
「講演依頼があったから、事前に資料を目を通して、失礼が無いように準備しておきなさい。これがその学校の概要だ、規模は小さい大学だが、看護師の試験はぐかクリルが高い大学だ。」
教授から、事前調べのために必要な講演以来のあった学校の資料を、市間一枚丁寧にめくり確認した。
<ウファ看護大>
偶然にも自分が計画を経てて行こうと思っていた看護大だった。
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