言えない恋じゃないけれど(スア) 11
一人で登校したのも初めてだが、スアがオレを避けている事が寂しいと言うのか・・・・・
ムカつく、ただ無性にムカついた。
最近のアイツは、いったいどうしたんだ?
スンハ姉さんの化粧品を使ったり、やたらと風呂が長かったり・・・いつも髪を結んでいたのに、今日なんて朝早くからシャワーを浴びて長い髪の毛をドライヤーで乾かして・・・・・・
「よぅ!」
バシッと肩を叩かれて振り向くと、甥で同級生のインハが立っていた。
「スアと一緒じゃないのか?」
「先に一人で学校に来ているはずだ。」
インハはスングの不機嫌な顔がおかしいのか、ニヤリと笑った。
「振られたか・・・スアに・・・今朝のスアは綺麗だったなぁ・・・他の男どもに取られるぞ・・・」
叔父と甥でも同級生。
こう言う時は、容赦しないインハの嫌味。
思いっきり肘鉄を食らわされて呻いているインハを無視するように教室に向かった。
廊下を歩くスングの不機嫌は、その周辺の空気も凍てつく位に怖く、すれ違う人は身体が触れることなくすれ違えるように歩いていた。
スングが歩いている事に気が付いていない人たちの会話が、運が悪くスングの耳に聞こえて来た。
「ペク・スアって前から思っていたけど結構美人だよな。頭もいいしスポーツは万能だし・・・背も高いし・・胸も結構デカいよな。」
「あぁ・・・体育の時に走っている時なんてさ、体操服の上から形も分かるくらいにユッサユッサと・・・・・・ゥゴッ!」
スングに蹴飛ばされると、その威力はコンクリートまで破壊しそうなくらいに痛かった。
「スアは貧乳だ!勝手に妄想するな。」
さすがに高校生の今は、スアの裸どころか下着姿はめったに見る事はないが、確かに今朝一瞬だけ見たスアの裸は思った以上にスタイルが良くて綺麗だった。
教室に入ろうとドアを開けて、自分の席に向かおうと顔を上げると、スアが化粧をしたからなのか、ほんのりと頬を赤くして携帯でメールを打っていた。
スアはスングが近づく事に気が付かない。
「誰と行くんだ?」
「えっ!」
目を吊り上げて自分を見下ろすスングから、画面を見られない様に携帯をポケットにしまった。
「別に・・・・」
「何で隠すんだよ。」
「いいじゃない。双子だからって何もかも話さないといけないわけじゃないでしょ。」
スアのスアらしくない言葉に、スングは何も言い返すことが出来ず、黙り込んで自分の座席に付いた。
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