言えない恋じゃないけれど(スア) 27
「こ・・・子供・・・」
「驚いた?一応ミニョンはタレントだからね、秘密にしているよ。ほら、病気療養という事にして・・・・一年くらい仕事を休んだだろ?あの時に生んだんだ。だからオレも一児の父。」
ふ・・・複雑・・・・・
この部屋にはいくつもの私が見たくない物が隠れている。
大人のギルさんだから、過去に付き合っていた女の人がいてもおかしいとは思わないけど・・・・・でも・・・・子供がいると・・
「幻滅した?」
「驚いただけ・・・・・」
「それならどうして結婚しなかったのか・・だよな・・・・・・生まれた子供はが亡くなったんだ。生まれてからもミニョンとはぎこちない関係だったけど、お互い子供の為にやり直すつもりだった。あれは生まれてから半年くらいの頃かな?売れ始めている間の休養が長いと仕事がなくなるからと言って必死に努力して体系を戻し仕事を再開し始めた頃。ミニョンが妊娠する少し前に個人事務所を作っていたから、仕事を探すこともなく直ぐに幾つか入って来た。グラビア撮影よりもドラマの仕事を取ったから帰宅時間も遅くなり始めていた。オレも仕事があるから昼間はキエが来て子供の世話をしていたけど、キエもお袋に内緒にしていてくれたから、夜は家に帰らないといけない。いくら双子でも頼りっぱなしはいけないと、仕事を自宅で出来るものは持ち帰っていた。」
顔が赤いな・・・・・ 額に触れるとまだ小さな我が子の体温が異常に高かった。
12時過ぎたか・・・・深夜過ぎての仕事は入れるなと言ったのに。
「ソンさん?ギルですけどミニョンは・・・・」
<撮影が長引いて・・・・明け方になりそうです>
「子供が・・ミニョクに熱があって・・すぐに帰るように。」
<無理ですね・・・今日は大御所がいるから、ミニョンが先に帰るわけには・・>
子供がいる事も、結婚はしていないけど一緒に暮らしている男がいる事も、個人事務所でも事務員には内緒にしていて、知っている人はマネージャーしかいなかった。
「ミニョク、オンマはお前よりも仕事が大切だと・・・・・苦しいな・・・アッパが病院に連れて行ってやるよ。」
と言っても、情けない事にオレはどうしていいのか判らなかった。
お袋に内緒にするのもこれが最後だ・・・・・・ 遅い時間にキエに来て貰うのも気が引けて、実家のお袋に電話をした。
「母さん?仕事中だったかな?」
<ん?大丈夫よ。父さんと今から飲んで寝ようと思ってたの。どうかしたの?>
「すぐ来てくれるか?子供が・・・オレの子供が・・・・・」
<子供?何の事を言ってるの?>
「事情は後で話すから・・・・・熱が高くて意識が無い・・・・・ミニョンが仕事でいなくて。」
<判ったわ・・・・・すぐに救急車を呼んで病院に・・・・・行き先が判ったらすぐにそっちに向かうから>
いつまでもお袋達に内緒にしていた天罰が下ったのかもしれない。
病院に着いて直ぐに容態が悪くなって、そのままミニョクは息を引き取ったよ。
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