言えない恋じゃないけれど(スア) 32
「いっ!負けてる・・・・・・」
「へっ・・へへ・・・・」
「オンマは7人の子供を母乳で育てたからね・・・・・萎んだだけよ。」
「でもお洗濯物を畳む時はオンマブラジャーが一番小さいよ。」
「だれに聞いたの?」
「ん~アッパ!アッパがオンマのはすぐに判る、一番小さいからって・・・・・」
「まっ!でも、この胸でもアッパは好きだと思うわ。」
「オンマのスケベ!」
スアとハニの楽しそうな声が、しっかりと締めたバスルームのドア越しに家の中に響いた。
スンジョはその話の内容が、何を言っているのか判るだけに、表情を崩さないように笑いを必死に堪えていた。
「お父さん、スアはお母さんと風呂に入ってるの?」
「みたいたいだね、今夜は風呂もだけど眠るのも一緒らしい。」
そんなスングとスンジョの会話も消してしまいそうなほど、にぎやかなバスルームの声はしばらく続いていた。
スングが部屋を出ると、スアも学校に行くために丁度部屋を出て来た。
「おはよう。」
「ああ・・・おはよ・・・・」
昨日、一昨日と違ってスアはまた依然と同じように、普通に朝の挨拶をして来た。
ただ、いつもと違うのは長い髪の毛は結ぶことなく、綺麗にブラッシングされ背中に垂れていた。
「どうかした?」
「いや・・・スアだ・・・・・」
「あたり前じゃないの、スングは目が悪いの?」
意地悪な言い方をする話し方も、自分を避けていた時が夢でも見ていたのか、違和感なく聞こえた。
「ほら、早くしないと学校に遅れるから、考え込んで立ち止まる時間何てないわよ。」
いつもと変わらないスアの話し方が、褒められているような気持ちになるほどスングは嬉しかった。
そうだよな、スアだって気分が乗らなくてオレと一緒にいるのが嫌な時もある。
いつもと変わらないから、オレを嫌いになったわけじゃない。
スングは急に嬉しくなりスアに抱き付くと、足を思いっきり踏みつけられた。
「何するのよ。いつまでも子供みたいに甘えて来ないでよ。」
少々、怒った言い方をするスアは、少し冷たいがそれはそれでこの間の朝から綺麗に化粧をしているよりはスングには好きだった。
「化粧をしていないスアの方がオレは好きだな。」
「別にスングに好かれなくてもいいけど?今日はミナおばさんの所に行く日よね。」
「ああ、今回のシリーズはいつになくスアは楽しみにしているみたいだな。」
そりゃぁね・・・・ギルさんに会いたいから、楽しみにしているのよ。
そんな事はスングには言えないけど・・・・・・それに気が付いていないみたいだけど、化粧はしているし、別に何かあるわけでもないけど、下着も新しい物にしたのなんて知らないだろうな。
コロンだって・・・・・・・スンハ姉さんの所から持って来て使ってるのだって・・・・・スングは気が付いていない。
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