言えない恋じゃないけれど(スア) 33
なんだ? いつもと変わらないスアに戻っているけど、おとといまでの数日間のスアはいつもと違っていた。
「どうかしたのか?」
「ぁあ・・・・・」
スンハの息子で甥のインハが、いつになくムッとした顔で何か考え込んでいるスングに聞いて来た。
「この間までのスアと違うと思わないか?」
「この間までの?ん~~」
インハは窓際で友達と話をしているスアを、スングに聞かれて観察をするようにそちらを見た。
「いつものスアに戻ったよな。それがどうかしたのか?」
「いつものスアに戻ったからおかしいんだよ。おとといまでオレを避けていたかと思うと、昨日の夜はお母さんと風呂に一緒に入って騒ぐわ、一緒に寝るわ・・・・・妙に明るいんだよ。」
「ふ~ん・・・・・生理じゃないか?」
「お・・お前・・・・スアのそんなことを知っているのか?」
「スングこそ自分の姉が産婦人科医だと忘れたのか?」
「忘れるわけないだろう。」
インハは机の上の教材を片付けながら、淡々と顔の表情を変えずに話していた。
こんな表情をする時のインハは、自分の甥だと判ってはいてもさすがに父スンジョの血を引いた孫であるとよく思う。
「インミが、毎月生理が来るとスアみたいに感情が乱れるんだ。お母さんが言ってたよ・・・PMSって。」
さすがに産婦人科医の母を持つインハはよく知っている。
スンハ姉さんはインスン義兄さんと違って、平気でそう言った事を話すからなぁ・・・
「そう言えばお前さ、大学はどうするんだ?おじいちゃんと同じくパラン大の医学部か?」
「そうなるかな?親父もお母さんもどっちでもいいと言ってたけど・・・・・オレは海外の大学に行こうかと。」
「海外の?アメリカか?まさかスンミおばさんのいるアフリカとか?」
アフリカの大学に行く気はないが、オレは高度の最先端医学の勉強したい・・・・・
「日本・・・・ユミおばさん、おばあちゃんの姉のユミおばさんの旦那さんが総合病院を持っているから、そっちに行きたいなと思ってる。」
「じゃあ、スアも一緒に行くのか?お前ら双子だから。」
「双子でもそこまでは・・・・・それに、スンミ姉さんが外国に行ってるから、スアは国内だと思う。親父はああ見えても心配性だからな。じゃ・・・・オレはスアとミナおばさんの所に行くから。」
スングはインハに挨拶をして、窓際の所で友人と話をしていたスアに声を掛けて教室を出て行った。
叔父叔母でもパラン大病院天才医師の血を引く二人が、インハは羨ましくもあり誇りでもあった。
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