言えない恋じゃないけれど(スア) 41
ギルさん・・・・ギルさんの所に行かなきゃ・・・・
ミニョンさん、全部話しちゃったよ
ちゃんとした結婚はしていないけど、ミニョク君が生れた事
半年でその命の灯を無くして・・・・・・
今お腹の中にいるのはその子供の父親と同じで、今でもただ一人愛した人だって・・・・・・
ギルさん・・ミニョンさんを今度は離さないで
私は、まだミニョンさんみたいにギルさんを支える事も出来ないただの子供
「どこに行くんだ?」
「ちょっと出かける・・・・」
「着替えて行けよ。」
「時間が無いの・・・・・」
時間が無いわけじゃない。
きっと雑誌関係の仕事をギルさんはしているから、ミニョンさんの話した相手がギルさんだってすぐに判っちゃう。
夕方で遅れがちなバスで行くより、タクシーを使って近道を走って行った方が早い。
しかしそのタクシーもつかまらず、バスと地下鉄を乗り継いでギルの住んでいるマンションに向かうことになった。
初めて見る芸能レポーターの中継。
ミニョンが有名人でギルが相手だと判ってしまった事が現実になった。
マンションの住人の様な振りをして、知らない顔をしてその横をスアは通り過ぎた。
「君・・・・・君は、パラン大のペク教授の娘さんじゃないですか?」
「違います。」
違いますと言っても、通用しない。
時々、家族写真が経済雑誌に掲載されているから。
父だけじゃなく姉や兄が医者だというだけじゃなく、ハンダイ一族だと言う事で、スアの顔は知られていた。
自分に向けられるフラッシュも気になったが、今はギルに会って話をしたかった。
暗証番号を押してロックを解除し、エントラスを走りエレベーターに乗り込んだ。
いつもはマンション入り口で呼び出しをしてから入って来ていた。
部屋の入り口もインターフォンを押そうとした時、わずかに漏れる話し声に、ギルが一人でいるのではない事が判った。
静かにドアノブを回すと、鍵が開いているのか軽く動いた。
そっと開けて中を伺うと、玄関先に並んでいる女性物の高いブランドの靴。
ギルと話をしている相手の声が、ミニョンだと直ぐに判った。
「どうして公表したんだ?それに堕ろさなかったのか?」
「もう隠さない・・・・子供の事は。ミニョクを亡くした時に、もっとみんなの前に出してあげたかったとずっと後悔していたの。ギルが堕せと言った気持も判るけど、神様がくださった命だし、ミニョクの代わりだと思うとギルと別れても生みたかった。これで仕事が無くなっても私は構わない。この子を生んで、ミニョクとギルに罪償いをしたいの。ギルの事は誰にも言わないから・・・・・・」
「ギルさんの事、誰にも言わないって言っても、下に芸能レポーターが来ているのに・・・・・・」
二人の間に割り込むつもりはなかったが、スアは何も知らない振りをして出て行く事は出来なかった。
「スア・・・・・・」
スアにミニョンといる所を見られたギルは、スアにミニョンと決別したと話していたのが違うと嘘を吐いていたと思われたと気まずさに顔から血の気が引いた。
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