言えない恋じゃないけれど(スア) 49
スアがギルさんと付き合っていると言っていたけど・・・・・
「いいのかよ・・・・・今年は受験年だぞ・・・・・」
とは言う者のオレも人の事が言えない。 結婚をしていて、もうすぐ子供が生まれるキエさんが好きだ。
スアにも誰にも言えないけど、中学生の頃にキエさんが大学を出た時に自分の姉さんたちとは違う、どこか優しいキエさんが好きになった。
「それでも、もっと受験生らしくしておけよ。最近授業にも身が入っていないから、インハと成績順位が入れ替わっただろう。スアとオレで1・2位を維持していたじゃないか・・・・・・」
何があったのか、この数ヶ月スアの気持ちが他に向いていた事をスングは気になっていた。
ギルと付き合っていると聞いたのは驚いたが、今まで何でもオレに話していたスアが一人で苦しんでいた。
♪♪~~ スマホの着信音が鳴った。
「はい・・・・・キエさん・・・・」
<今から、パラン大に行くのだけど、おじさんと連絡取れる?>
「お父さんなら、家にいるけど・・・・どうかしたの?」
<事情はちょっと私からは言えないけど、おじさんに頼みたいことがあるの。母はもう病院に向かっているから、おじさんの電話番号もおばさんの電話番号も知らなくて・・・・・・>
「待っていてください・・・」
スングは通話口を押さえて自分の部屋を出た。
階段上から下のリビングを覗くと、ソファーに父と母と祖母が座っているのが見えた。
「お父さん・・・・・キエさんがお父さんに用があるって・・・・・」
スンジョは持っていた新聞を畳んでハニに渡すと、階段を降りて来たスングから電話を受け取った。
「代わりました・・・・・病院に向っている?・・・・・事務局長に連絡するよ・・・お母さんに連絡が取れたら、職員駐車場の方に回るように伝えて・・・・おじさんも向うよ。」
通話を終えるとスンジョはスングにスマホを返した。
「キエさんのお母さんどうかしたの?」
「おばさんではないよ・・・・情報を漏らすことが出来ないが、ある人が病院に向かっているから人の目に触れないように行けないかと言う相談だ。」
スンジョはそう言うと、ハニに病院に行くと言って玄関に向かった。
「スンジョ君、私も一緒に行く!」
いつもお母さんは高校時代から変わらない呼び方でお父さんを呼んでいる。
そんなお母さんを見るお父さんの目はとても幸せそうだ。
「スング、何か飲む?」
「コーヒー・・・・が飲みたい。」
「スングのコーヒー好きは、お父さんに似たのね。おばあちゃんが淹れるから気に入らないかもしれないけど・・・・・座って待っていてね。」
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