言えない恋じゃないけれど(スア) 56
お母さんとミナおばさんは親友だ。
オレがしている事は、もしかしたらお母さんとミナおばさんとの仲も壊してしまうかもしれない。
「アッパァ~、お帰りなさい。」
「ただいま。」
スンスクの子供ミレとフィマンは、父親が帰宅すると先を争って迎えに出る。
「スンスク兄さん、お帰りなさい。」
「今日は塾じゃなかったのか?」
「明日だよ。兄さんは、今日は早かったね。」
「職員会議もないし、たまには子供と一緒に過ごす時間が欲しいからね。」
スンスク兄さんとキエさんは同級生。
兄さんはキエさんとは話しをしたことがあるのだろうか?
「どうかしたの?」
「兄さんって、キエさんとギルさんと同級生だよね。」
「ソン・ギルとソン・キエ?同級生だけど、クラスが違ったから遊びに来たりしても話はあまりしたことがなかったね。」
「そう・・・・・」
「どうかした?」
ミラさんとよく似た顔のミレはよく気の効く子供で、オレが言いにくそうにしていると、弟のフィマンを連れて自分たち親子の部屋に入って行った。
「兄さんって、ミラさんと高校生の時に付き合い始めたんだよね。」
「付き合うって言っても、僕が病室に見舞いに行っていただけだよ。」
スングの話をどう聞いたのかハニは、二人の話に割り込みたそうに、その隙を伺っていた。
「スングの部屋に行こうか?お母さん、ミレとフィマンにお風呂に入っているように伝えてください。」
ミラが亡くなってから男手一つで子供を育てる事が大変だからと、スンスクはずっと実家で暮らしている。
高校教師としての仕事を終えて家に帰ると、ミラと過ごした部屋で子供と眠るまでの時間を過ごしているが、出来るだけ自分で子供たちの世話をしていた。
ふっくらしたスンスクも、さすがに子供の事や教師としての仕事で随分と体重が落ちた。
「もしかして、恋愛相談?」
「どうして・・・・」
「これでも高校教師だよ。スング位の生徒のこの時期の悩みは恋愛だよ。進学と恋愛で一番悩みが多い時期でもあるから。」
兄さんなら、家族の中で二番目に口が堅いから、話してみようか・・・
「あのさ、兄さん・・・・・・ミラさんが、もし前の婚約者と結婚していたとしても、自分の気持ちを伝える事が出来た?」
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