言えない恋じゃないけれど(スア) 69
忙しく荷物を纏めているハニの傍にいる双子。
久しぶりに見る双子が並んで立っている姿に、ハニは何がそんなに嬉しいのかウキウキとした顔をしていた。
「スングが一緒なら、荷物が増えてもいいわよね。」
「いいけどさ・・・・・何だよ。その古いアルバムは。」
「フフ・・・・これはね、おばあちゃんとお母さんの共通の思い出。」
「オンマ、見てもいい?」
「おばあちゃんとね・・・・・二人がそう並んでいるのは半年ぶり位かしら?」
大きな袋をスングに渡し、小さい袋をスアに渡すと、二人の背中を玄関まで押した。
「お母さんの可愛い双子ちゃんたち、いつまでも一緒にいてね。じゃあ、おばあちゃんの見舞いをお願いね。」
ハニは二人が恋に悩んでいた事は何も知らない。
二人にとってはその方がありがたかった。
大好きな母ではあるが、母に分ってしまえば厄介なことになりかねないから。
スアは頻繁に祖母の病室に来ていたのか、慣れた様子で看護師に挨拶をし、スングの前をすたすたと歩いて祖母の病室に向かった。
「おばあちゃん!」
「スア!まぁ・・・・・スングも久しぶりに一緒に来たのね。入りなさい。」
点滴が終わったばかりなのか、看護師が処置を終えて機具を片付けていた。
「よかったのかな?」
「もう、今日の点滴は終わりだからいいわよ。」
看護師が二人に挨拶をすると、それに応えるようにスアも頭を下げた。
その様子をなぜかグミはクスクスと笑い、病室のドアが閉まると、いつものグミのイタズラっぽい笑顔が見えた。
「気になる?スア・・・・・」
「おばあちゃん!別に・・・・・・・・」
赤い顔をして戸惑っているスアの顔を、不思議そうにスングは見た。
「行ってらっしゃいスア。彼もね、スアが来るのを待っていたみたいよ。」
「お・・・・おばあちゃん・・・・・・」
スングに秘密にしていたのか、スングの方をチラッと見て病室を出て行った。
「なに?なにかあるの?」
「スアね・・・あの看護師に告白されたんだって・・・・・」
「告白?」
「そうなの。スアがお見舞いに来てるのを見て、気になっているようだったから間に入ってあげたの。好きなら早く告白しないさいって。」
スングがキエの事で悩んでいた時に、よくグミの見舞いにスアが来ていたのは知っていた。
ギルの事が吹っ切れたばかりで、新しい恋の相手が見つかったから、最近また大人っぽく感じたのはそういう事なのかとスングは気が付いた。
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