言えない恋じゃないけれど(スア) 70
小さい頃から看護師として働いていた母に代わって祖母が自分たちを面倒を見てくれていたのに、中学生になる頃からあまり話さなくなり、スアと一緒に見舞いに来なければスング一人では来なかった。
「スングも小さい時はよくお話をした子供だったのに、大きくなってきたらアッパみたいに無口になったわね。」
「そうかな・・・・自分では分からない。」
落ち着かなかった。
この間までギルさんが好きだと言っていたスアが、また俺の知らない間にもう別の男に乗り換えたのか?
「さっきの看護師ね・・・・・・」
無言状態が長く続くかと思われたが、グミの方がスングの気持ちに気が付いたのか、ポツンと話し始めた。
「看護師?」
「顔も性格も良くて、まじめだから心配ないわ。」
「別にオレは・・・・・」
気にならないと言いたかったが、おばあちゃんには誤魔化した言葉は簡単に見抜かれてしまう。
「スアもスングも双子だから大体同じ時期に恋をして失恋でもしたのでしょ?」
「どうして・・・・・・」
両手をポンッと叩いて、グミはいたずらっ子のような笑顔を見せた。
「やっぱりそうなのね・・・・・スアもスングもこの一年くらいで随分と大人の顔になったから、そうかなぁと思ったわ。でも、大丈夫よ。スンジョにもハニちゃんにも言わないから。」
「スアに聞いて・・・・・」
こんな風に楽しい会話も、おばあちゃんどころか家族とも最近はしていなかった。
スアとオレは両親が年老いてから生まれたけど、若くて綺麗で料理も上手くて自慢のおばあちゃんだった。
今でも、おばちゃんは同年齢のおばあちゃんよりも若々しくて綺麗だと思う。
「スンジョもハニちゃんも遠回りをしたけど、7人の可愛い子供たちに囲まれて幸せな二人を見るとこの世に思い残すことはないわ。」
「おばあちゃん!今にも死ぬような事を言うなよ。まだまだ、おばあちゃんは死んだらいけないよ。」
「当たり前でしょう。まだ私は死なないわ。誰が死ぬって言ったのよ。」
また、やられた・・・・・
おばあちゃんのこの言い方に何度も家族は振り回されている。
「スング、日本の大学に行きたいのでしょ?行きなさい・・・スンジョ達が何を言っても気にしないで、自分を信じて夢を掴みなさい。ペク・スンジョとオ・ハニの子供ならそれが出来るわ。自分の夢を掴んだら、可愛い彼女と家庭を持つまでおばあちゃんは絶対に死ないわ。そして可愛い女の子のひ孫を、この胸に抱かせてね。」
0コメント