言えない恋じゃないけれど(スア) 71
スンジョとハニちゃんの一番下の可愛い子供も、あの頃のスンジョとハニちゃんの年齢になったのね。
遅く出来た双子だからと、特別に甘やかしもしないで、他の子供と同じように愛情を与えて育てた、スンジョとハニちゃんの可愛い子供たち。
スングとスアだけじゃなく、他の子供たちも幸せになって欲しい。
私とパパが幸せな結婚生活を送ったように。
「お母さん、スング達は帰りましたか?」
病室の窓から見える中庭の銀杏の木を見ていたグミは、明るいハニの声が聞こえた入口の方を見た。
「ハニちゃん、来てくれたの?スンジョも・・・・・」
スンジョの時間が空いた時に、いつも二人揃ってグミの病室を訪れる。
二人をくっつけたくて、あの手この手とさまざまな方法で走り回っていた事が、まだつい最近のように思えるが、若かった二人にも孫が9人で、おじいちゃん・おばあちゃんと呼ばれる年齢になっていた。
「まだそのアルバムを手離さないのか?」
「そうよ・・・・このアルバムが有ったから、スンジョもハニちゃんと言う可愛い生涯の伴侶を持てたのでしょ?」
スンジョの幼い頃の写真から、ハニがペク家に来てテスト勉強をしていた時に写した写真。
パラン高校卒業式に写したハニとスンジョの写真、結婚式での沢山の写真。
こっそり付いて行った新婚旅行の写真から新婚時代、スンハが生まれ、他の孫たちの写真にスンハの結婚式とスンジョとハニの最後の子供で双子のスングとスアの成長。
シニアカメラマンとして活動しながら、その合間に撮っていた沢山の家族写真。
「もう写すことはないけど、この写真は私の幸せの証よ。」
スチャンが亡くなった時は、一時カメラを手にすることが出来なかったが、スチャンとよく似たスングを見ているうちにカメラをまた手にするようになった。
「ねえ、スンジョ・・・・」
「はい。」
「スングを日本の大学に行かせてあげて。」
「お母さん、でも・・・・・・」
グミには判っていた。 スンジョがスングの日本行きを止めたのではなく、ハニが先のない自分の為にスングに国内の大学に進学するように言った事を。
「スンジョはパパと言い争っても医学部に行きたかったでしょ?」
「お袋・・・・・・」
「ハニちゃんは自分の信じた道を、どんなに困難でもやり遂げる人でしょ?」
「でも・・・お母さん、日本で医学部を出てもスングは帰って来ないかもしれないですよ。家族は一緒に暮らさないと・・・・・」
「私の為にスングの夢を摘んではいけないわ。大丈夫よ、私はスングが医学部を卒業するまで、絶対に死なないから。それとね・・・・スアの事だけど・・・・・」
「スアはお父さんの母校のテハン大を受験すると思います。」
「スンジョとハニちゃんに言えなかったみたいだけど、スアはね・・・・・・・・」
窓の外で若い看護師と話をしているスアは頬をほんのり染めてほほ笑んでいた。
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