言えない恋じゃないけれど(スア) 73
スンスクが生れる時にスチャンが亡くなり、ギドンはスンギが結婚して暫くしてから亡くなり、元気にいつまでも若々しかったグミもいつの間にか80歳を過ぎ、元気に見えていても体力がなくなって来て入院し、スンジョとハニの子供たちもそれぞれ家庭を持ちたまに実家に帰って来るだけで、ペク家が今までで一番静かな時かもしれない。
小さかった双子たちも高校3年になり、両親に甘える事より自分の部屋で過ごす事が多くリビングはヒッソリとしていた。
「スンスクはこの家にずっといてくれると言っていたけど、双子たちが自分の部屋にいると静かね。」
「そうだな・・・・」
ハニの淹れたコーヒーを飲みながら、スンジョは本を読んでいた。
気のないハニへの返事の様でも、ハニはスンジョが何か考えている事を察していた。
「スングの事?スアの事?」
「二人だ・・・ずっと自分がそうして貰っていたように、上の子供たちの進路も本人任せだった。それが良かったのかよくなかったのか、双子たちが何を思い何を考えていたのか知らなかった。」
「スンジョ君・・・・・・・」
それは誰のせいでもない事はスンジョもハニも判っていた。
「ハニ・・・・お袋の言うとおり、スングを日本の大学に行かせよう。」
「でも・・・・」
「オレは親父が大きくした会社に興味が無い、医者になりたいと言って自分の夢を実現した。それなのに、子供にはダメだ、こうしろと言って押さえつけるのは間違っている。スンハやスンリにスンスクとスンギも自分の進路は自分で決めた。スンミは色々とあったが、自分で決めて大学を辞めて結婚したが幸せだ。双子たちはオレ達ではなくて上の兄や姉たちが面倒を見て育ったから、考えてみれば親が悩むことなく一番楽な子供たちの様でも、逆に一番可哀想な子たちだったかもしれないな。」
「ちゃんと、私は育てたつもりよ。ネックレスしていないわ・・・・・・・」
「バァーカ、それを言うのならネグレストだろう。ハニがちゃんと子供たちを大切に育てていたのは判っているよ。上の子達と同じようにもっと目を見て話しをしていなかったと思うと・・・・・オレは父親失格だな・・・・」
「スンジョ君は、仕事で忙しかったし、それは仕方がないよ。」
「ハニはお袋の為と思ってスングに言った事も判る。スアは・・・・・お前を見て、一緒に家の事をしたいのかもしれないな。お前がミラのことがあるから仕事量を減らして家にいる事が多かったし、お袋と仲良く家事をしている姿を、誰よりも一番よく見ていたのだから。」
ベテラン看護師と言っても、年数だけがベテランで役付けではないから、ミラの時に一旦看護師を辞めた。
その時にスアは、『髪の毛を結んで』とか『オンマと一緒に寝たい』とか言って甘えたがっていたが、ミラの看病があるからと言って我慢をさせ、ミレが生まれフィマンが生れミラが亡くなり、結局甘えることなく成長した。
「まだ二人は起きているかな?」
「呼んでくる?」
「あぁ・・そうしてくれるか?」
双子たちがいる二階の部屋に行く階段を上がるハニの後姿を、スンジョは優しい目で見ていた。
ハニ・・・・お前は立派な母親だったよ
時々、子供たちに嫉妬するくらいに、ピッタリと貼り付くように一生懸命に育てていたよ
もう少ししたら、二人だけになるからお前の夢を叶えてあげるよ
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