未来の光(スング) 14
「夏の休暇に、一緒にスングの実家に行くって・・・・・・・」
「やっぱり無理か?」
「無理じゃないけど、スングの実家に行く前に・・・・・私の両親に・・・・・」
「両親に?そうだよな。男友達と海外に行くし、おまけにそれも実家。」
優花は口に出して言う事が出来なかった。
スング、実家に行くっていう事は、私との将来の事を考えてくれているって事だよね。
結婚・・・・・出来るのかな?
スングは大学を出たら帰国するのだろうし、私は独りっ子だから付いていけないよ。
両親は私が跡を継ぐことにしているから、スングが帰国する時にはサヨナラだよ。
スングが軽く言った言葉は、優花にはそのままに受けてもいいのか判りかねていた。
最近は高校からの友達と一緒にいるより、スングと一緒にいる時間が多い。
別に友達と喧嘩をしたわけでもないけど、スングといつも一緒にいたいから。
スングも優花も互い特別な想いを持っているから、この先も関係を壊す事がない付き合いをしたいと思っていた。
「ねえスング・・・・」
「なに?」
スングは私の事をどう思っているの?
「夏の休暇に行くのなら、今からホテルを取っても取れないよ。連休前に大抵の人たちは予定を立てているから。」
言えなかった、聞けなかった。
私の片想いだったらどうするの? バカみたいに思われるよね。
今までもそうだったから。
みんな私が総合病院の娘だから付き合いたいだけ。
「オレの家に泊まればいいよ。兄弟が多かったから部屋は沢山空いている。それに、お母さんが優花がどんな子か知りたいって五月蝿くて。」
「で、なんて言ったの?」
「優花の事?・・・・・日本で一番信頼の出来る友人で、一番心が許せる人。」
嬉しいような寂しいような妙な感じだけど、ただの友達って言われるよりもいいかもしれない。
「そう・・・・・・」
「いけなかった?」
「ううん、そう想ってくれていたんだと思っただけ。気が付かなかった、スングの気持ちに。」
優花にオレは何かいけない事でも言ったのだろうか。
両親に会う日程はまた連絡をすると言って、あとは普通に二人でいつも通りしていたけど、元気が無いような気がした。
はっきりと優花に自分の気持ちを言った方がいいのかもしれないが、心のどこかにまだキエがいるからそれが消えるまでは自分の気持ちを言うのは避けたい。
何でも話が出来る二人だが、二人はなぜか自分の気持ちを伝える勇気が無かった。
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