未来の光(スング) 19
「記念すべき初めてのキスなのにね・・・・私のファーストキスは、痛かった!スングも初めて?」
返事が出来なかった。
女性と付き合ったのは優花で二人目だし、キスはキエさんと何度もしていた。
さすがに優花は、無言のスングの意味に気が付いた。
「そうだよね。スングは背が高くて頭が良くて顔もいいしカッコいいからモテそうだもの。誰かと付き合っていてもおかしくないよね。」
優花の小さな顔が急に悲しそうな顔になった。
「いつか話すよ、オレには優花しかいないと思っているし、優花を大切にしたいから過去の話も全部話すよ。」
優花にとっては、話を聞くのは辛い事だけど、この先も優花と一緒にいる為には、話さないといけない事だった。
「実はね・・・・私もスングに話さないといけないことがあるの・・・・・」
「え?」
「誰にも言っていない事・・・・・両親も知らない私の秘密。」
優花に過去があるとは思いもよらなかった。
さっきのキスも初めてのキスだと言っていたのに、それよりも?誰にも言えない秘密があったのだろうか。
いや・・・キスをしなくても出来ないことは無いか・・・・・・
「いいよ、無理に話そうしなくても。オレが話したから、優花も過去を話せとは言わないから。」
聞くのが怖いのは事実だ。 自分は既婚者であるキエと付き合っていたのに、優花には別の誰かと付き合っていてほしくないと思うのは身勝手だ。
「言わせて・・・・だって、結婚をするのに私の秘密を知って幻滅されても困るし・・・その前にもし万が一結婚前に・・・・一緒にベッドで・・・・」
小さな顔が真っ赤になって、落ち付かない優花の様子にスングも無理に聞く気はないが、優花の気が済むようにしようと思った。
「あのね・・・あのね・・・・・私・・・・凄く変なの・・・・」
変?まさか子供みたいな顔をしているのに、変な性癖がある?
一応、気にしていない振りをして聞いてみて、それからオレがそれに合せればいい。
「言ってみろよ。オレはそうそう動揺したりしないし、優花の事は嫌いにならないから。」
「本当?」
「本当だ。」
「すっごい、寝相が悪くて・・・・・クローゼットの戸を壊したの・・・・・・」
「はぁ?」
スングの大きな声が、公園で遊んでいる子供たちの動きを止めた。
0コメント