未来の光(スング) 26
スングからの電話で、ハニに気が付かれないように来たスンジョは、到着ロビーで待っていた。
空港備え付けの車椅子を開いて用意していると、背の高いスングが小さな女性の身体を支えながら歩いて来た。
名前を呼ばなくてもすぐにスングは気が付き、スンジョの近くまで歩いて来た。
「お父さん、大瀧優花さんです。」
「初めまして・・・・」
「スングの父のスンジョです。具合が悪いと聞いたので車椅子を借りて来ました。」
家族にだけ見せる父の優しい笑顔。 その顔に安心したのか、優花は大きく息を吐いた。
「お父さん、琴葉おばさんがお父さんの事を怖いと言ったので、優花は不安で緊張して具合が悪くなったみたいです。」
「全く琴葉さんは・・・・・優花さん、琴葉さんはちょっと大げさに言っただけですから、緊張をしないでください。」
「すみません・・・あの・・・・」
韓国語が話せない優花は、いつものように手をヒラヒラと振り、スングの身体をかがませた。
「ねぇ・・・・車椅子・・・・大袈裟で恥ずかしい・・・歩けるから大丈夫って言ってくれる?」
「お父さんは日本語も判るから、そう伝えればいいだろう?」
「車椅子が必要ないのなら・・・・・スング、車まで先に行ってなさい。これを返して来るから。」
スンジョから車の鍵を受け取ると、パーキングまで優花のキャリーバックを引き、手をしっかりと繋いで歩いて行った。
スンジョは、小さな身体の優花の緊張している様子が、おかしくてふたりに気が付かれないように笑っていた。
「スングのお父様って・・・すっごく素敵ね。」
「オレよりもか?」
「拗ねてるの?」
「ちょっとな・・・・・・・」
「フフッ・・・・・でもよく似てるね。妹さんも似ているの?」
「双子だからね。一卵性なんだからそっくりだ、性格は・・・・・オレは90%はお父さんで妹は90%はお母さん似だ。」
優花には秘密にしておきたい。
母に似ている10%は、焦ると失敗をすると言う事を。
「スングのお父様って・・・すっごく素敵ね。」
「オレよりもか?」
「拗ねてるの?」
「ちょっとな・・・・・・・」
「フフッ・・・・・でもよく似てるね。妹さんも似ているの?」
「双子だからね。一卵性なんだからそっくりだ、性格は・・・・・オレは90%はお父さんで妹は90%はお母さん似だ。」
優花には秘密にしておきたい。
母に似ている10%は、焦ると失敗をすると言う事を。
優花の宿泊先のホテルに寄って、一旦スンジョは二人を残して自宅に戻る事にした。
ハニには大学に資料を取りに行くからと言って出て来たのに、スングと帰ればどうして自分を誘ってくれなかったのかと言うから。
「お父さん、お母さんには優花のことは言っていないですよね。」
「言っていないよ。智樹から連絡があったのも、仕事の事だと思っているから。」
「少し休んでから優花と一緒に家に行きます。スアも来ているんですよね。」
「ああ・・スアどころかスンハもスンミもスンリもスンギも来ているよ。」
家族に何かあればすぐに集まるペク家。
スンミは子供の就学の関係の手続きで帰国していた。
大家族のペク家の出迎えに、優花が驚かないように事前に話していたが、大丈夫と言う優花の様子も気になった。
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