未来の光(スング) 28
リビングのソファーでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいるスンジョの横に、その場所は自分の指定場所とでもいうような顔をしてハニが座った。
「今日は何かあるの?子供たちが集まって。何の連絡もなくスンミまでミルの就学の事で帰国したし・・・・スアの部屋に入って出て来ないじゃない。スアは妊婦だから大切にしてあげないといけないのは、みんなと同じようにバタバタと動いているし。」
いい加減に言わないと、ハニも驚くだろうが・・・・・もう来るはずだ。
「ハニ、みんなに下に降りてくるように言ってくれないか?」
「どうして?まだお夕飯の時間も来ていないよ。」
「スングが来るんだ。」
「スングが?私また忘れていたのかしら・・・・・スングの分のご飯は用意していないわ。」
「スンギに頼んである。適当なところのケータリングを頼むよりも、スンギが大変だけど、うちの家族を知ってもらうためにはその方がいいからな。」
ハニは訳が判らなかった。
「うちの家族を知ってもらうって・・・・・スングは家族じゃないの・・・・変なスンジョ君。」
不思議には思ってはいたが、ハニは二階のスアの部屋にいる子供たちを呼びに上がった。
スアの部屋からは子供たちの賑やかな声が聞こえる。
スアが結婚をして、スングが日本に行ってから静かになったペク家。
同居しているスンスクとその子供のミレとフィマンがいても、物静かな三人にハニが一人で話しているように外からは見えていた。
もう来るな・・・・・・
「スンジョ君、お母さんも呼んでくるね。」
「あぁ・・・・・」
ハニがグミのいる離れに行って暫くすると、家の前にタクシーが停まった音が聞こえた。
スングがタクシーの運転手に礼を言って、暫くするとハニの驚いたような声と、グミの喜ぶ声が開けてある窓から聞こえて来た。
それから数分後に、バタバタという足音と、どこかにぶつかりながら走って来る様子で、ハニが慌てていることが判った。
「スンジョ君!スングが・・・・スングが・・・・・ちっちゃな女の子を連れて来てるの・・・・・・スングの半分しかないちっちゃな女の子を・・・・・・」
「スングの半分って、お袋・・・・・1メートルの身長か?」
ガチャリと玄関のドアが開いて、スングが恥ずかしそうに入って来た。
その後ろにグミと手を繋いだ優花が、赤い顔をしてスングの背中に隠れる様にして立っていた。
0コメント