未来の光(スング) 29
16の瞳が小柄な優花に集中していた。
優花はスングのシャツの裾をギュッと引っ張り、自分がその場にいてもいいのか気になった。
「あ・・・・・スング・・・・・」
「何だよみんな、オレが帰って来たのにお帰りを言ってくれたのはおばあちゃんだけだぞ。」
「「「お帰り・・・・・」」」
まるで合唱の様にスングを迎えるハニと兄妹たちと姪のミレと甥のフィマン。
「あっ!」
「空港で会ったよね・・・・・」
スングが日本に発つ日に、空港で偶然に会った事のあるスアを見て、不安そうにしていた優花が安心したような表情に変わった。
「なれ初めとか聞きたいな。私たち双子だから、小さい頃から何でも話していたから知っておきたいの。」
長くなりそうな兄弟たちの出迎えの挨拶を、途中で切り上げないと優花を一目見た時から気に入ったと言った祖母がいつまでも立っていると疲れてくると思い、スアの話に割り込むことにした。
「何でも話していた?」
「いたじゃないの・・・・・」
スアのお腹を見て、父親譲りの意地悪な顔で言い返した。
「スンと付き合っていたのも知らなかったし、確かお前・・・・・・スンハ姉さんと同じではないと言っていなかったか?そのお腹の大きさは同じじゃないのか?」
「ちょっと、スングどういう意味よ!私はアッパが結婚を許してくれないと困るから計画妊娠をしたのよ。私は大学生だったけど、スアは高校生なのに淫らな事をしたからよ。」
優花の親と年齢も近いスンハは、昔と変わらずグミ二世のパワーは存在していた。
5人のスングの姉と兄、双子のスアの綺麗な顔がずらっと並ぶと迫力がある。
まだ小学生のミレとフィマンも、ペク家の血を受け継いでいるのか、幼いその顔も整った綺麗な顔をしていた。
「いつ産まれるんだ?」
「10月・・・・・いいじゃない、結婚することは決まっていたのだし・・・受験勉強はしていないから暇だったんだもの。スングの受験勉強の邪魔をしてはいけないと思って、デートした時に・・・うっかりなんだから・・・・・」
こんな会話も家族の前で言う事が出来る事に、優花はまた驚いた顔で見ていた。
「ハニちゃん、玄関先で立ったままだと優花ちゃんが可哀想だから、上がっていただいて何か飲み物でも用意してあげて。」
「そ・・そうですね。」
「お母さん、優花にはお母さんのカフェオレを飲ませてあげてくれないか?」
「私のカフェオレ?」
優花はスングに頼んでいた事だった。
<スングのお母さんのカフェオレが飲みたい>
リビングのソファーに座ると、優花は持って来たキャリーバックを開けた。
「あの・・・お土産を持って来たのですけど・・・・・・・」
スングと買い物をした時に買って来たお土産を緊張しながらペク家の一人一人に挨拶をしながら手渡した。
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