未来の光(スング) 39

お父さんに優花との結婚を許してもらってうれしかったが、それよりもお母さんがオレに謝って来たのは意外で、たった一言だけ気にしてないと言っただけで、子供のように安心した顔をした。 

そんな風に素直に喜べるお母さんだから、何事も完璧を演じなくてはいけないお父さんが好きになったのだろう。 


「今日帰国して、兄妹の歓迎会で疲れただろう。部屋に行って休みなさい。」 

「はい・・・・」 

この両親の子供として生まれて良かった。

 お母さんの焼きもちは少し厄介だけど、いくつになっても両親の仲がいいと言うのはいい物だ。 

「あの・・・・・」

 「どうかしたのか?」

 オレのお父さんは同級生の父親よりも年がうんと上だけど、どうしてこんなに男のオレから見ても格好いいのだろう。 

「お父さんはお母さんのどこが好きなのか判りました。」 

ニヤッと笑ったスングの顔は、同じ年頃の時のスンジョとよく似た顔だった。 


「まっ!この子は・・・こんなおじいちゃんとおばあちゃんをからかって。」 

「お父さんはお母さんをからかうのが好きだったじゃないですか。今度はオレがからかいますよ。」

 フッと笑う父の顔はスングも他の子供たちも好きだった。

 決して大きな声で笑うわけではないが、その空気のような流れがとても心地よい。 


「そうだ、二階に上がる前にスンスクに礼を言えよ。」 

「スンスク兄さんに?」 

「自分が両親に一番世話になっているから、この先も自分がお父さんとお母さんの面倒を見るから、スングにも幸せにさせてあげて欲しいって。」 

兄弟の中で一番無口で、一番優しい兄。

 若い時に結婚をして、結婚生活の殆どが妻の看病と子供の世話。

 会った事のない祖父に似ていると祖母から聞いた。 

「はい、お休みなさい。」

 「あっ!待って・・・・・」

 書斎から出ようとするスングをハニが呼び止めた。 

「優花さんにうちで泊まってもらったら?」

 「それは・・・・・」

 「スアはそうはここには戻って来ないし、私も優花さんに悪い事をしたから少しでも仲が良くなりたくて・・・・・・別にスングのベッドで一緒に寝なさいとは言わないけど・・・・スアの部屋を使えば淋しくないでしょ?」 

「お母さん・・・・・」

 「外国に来て一人で部屋にいる淋しさはスングが一番わかっているじゃない。隣の部屋だから、もし・・・もし・・・・・・」

 「もし?」 

「その気になってしちゃったら・・・・結婚すればいいじゃない。うちはみんな早婚なんだから。」 

肩を震わせて笑っている父を見て、自分もおかしくなってきた。 

お母さんはどうしてこんなことを思いつくのか・・・・おばあちゃんがお母さんを溺愛しているのもよく判る気がする。 


「明日優花にそう言うよ。でも、結婚するまではオレは優花に触れない事を約束しているから。一番の目標は、お父さんのような優秀な外科医になる事。優花も医学を目指しているのだから、結婚を早くする気もないし、スンギ兄さんだって早い結婚ではなかったから、お母さんのその手には乗らないよ。」 

静かに書斎を出て行くスングは、明日になったら優花に今の話をしてホテルを引き上げようと思った。

 きっと優花はハニと仲良くなれる。 

スンリもスンスクもスンギも、みんな母に似た相手を選んで幸せだから。  

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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