未来の光(スング) 68
思ったよりも早く優花の両親と会う事が出来た。
事前にスングには優花の両親と会う理由を言ったが、グミの年齢のことを理由にはしているが、自分の健康上の事も関連していた。
手術は成功をしたとはいえ、一度悪くした心臓はよくはなることも無いし、ハニも元気にしていても、いつどうなるか判らない年齢に差し掛かっていた。
「ハニも自分の身体の調子が悪い時は、無理をしないで早くオレに言うんだぞ。」
「やぁね、私はどこも悪くないから。それにスンジョ君には言われたくないわ。医者のくせに、自分が病気になって手術までしたんだから。」
「確かに・・・・そうだな。」
最近はハニに言い返されることが多くなって来た。
若い頃はハニが言い返せないくらいに、自分の意地悪な言い方でとことん泣かせていた。
それが楽しみでもあったが、最近はハニに言い返されるのが楽しくもあった。
「オレと結婚して幸せだったか?」
「何を急に・・・・あたり前じゃないの。」
「そうか?結婚する前はどれだけハニを泣かせて傷つけたか。結婚してからも、お前には冷たいし人前で愛しているだとか、思いやる言葉を掛けなかったし、プレゼントらしいプレゼントもやらなかった。仕事に夢中になってお前に寂しい思いをさせて、お袋にお前と一緒にいる時間を作れと何度言われたか。」
ハニは不思議だった。
どうしてスンジョがこんな事を急に言い出したのか。
まるで自分の死期が近くなった人のような言い方に、それを悟られないように平気な顔を装った。
「プレゼントは沢山もらったわ。若い時はプレゼントは物だと思っていたけど、人間が一番必要なプレゼントは、物でもなく形でもない一番大きくて尊い物。7人の子供たちがそうなの。スンジョ君の物の考えや・・・・みんな顔も頭も受け継いで・・ただ一人スンギだけは私に似て頭が悪くて、それだけは本当に悪いなぁ・・・って言う気持ちになるわ。」
スンジョにとってもそれは同じだ。
「皆いい子たちだよ。ハニによく似て、明るくて元気で努力家で・・・・一番は性格がどの子もいい事だ。どの子もオレの捻くれた性格を受け継がなかったが・・・ただスンハだけは、お袋に似た所があって・・・・でもスンハは長女として弟や妹たちの良い相談相手で、ハニと同じでみんなを元気にさせてくれる。」
上着を羽織ると、手をハニの方に差し出した。
「行こうか。オレ達の最後の子供の未来の為に・・・・・・」
もうハニが何も言わなくても、スンジョにはハニの考えている事がよく判るし、ハニもスンジョが何を言いたいのかもよく判る。
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