未来の光(スング) 70
「優花とスング君の気持ちはどうだ?親としては、いつも一緒にいるから間違いが起きてからでは困るし、これから勉強も大変になる。優花の部屋で遅くまで勉強をして、下宿先に帰るのも大変だろう。結婚をして一緒に暮らせば帰る事もしなくてもいいしい、時間を無駄にしなくてもいい。これは私個人の考えだ。二人が最初の話の通り6年後にするのか・・・・」
スングも優花も気持ちは決まっていた。
スングは優花と出会ったから、キエの時のように背伸びをすることもしないで、年相応の恋人のようにふざけたりして笑う楽しさを知った。
結婚をすればこの先ずっと一緒にいられるが、相手の人生を受け止める覚悟をしないといけない。
自分の理想は両親の様な夫婦になる事。
キエの時は周りを見ないで、ただ自分の感情だけで動いていた。
「スング・・・スング・・・・どうするの?」
「あっ・・・・」
「優花さんの返事は聞いたが、後はスングの返事次第だ。」
優花は何と返事をしたのか、聞かなくても判っている。
期待を込めた目で見ている優花にスングは頷いた。
「父の言うとおり、祖母の年齢の事を考えて出来れば早く優花さんと結婚がしたいと思っています。出会ってからは短いかもしれませんが、自分が自分らしくいる事が出来るのは優花さんといる時です。」
スンジョは年老いたグミの為に提案した二人の結婚で、優花の両親はふたりが勉強をする時間を無駄にしないために結婚をしたらどうかと提案した。
双方の親がどういう考えなのかは別として、国籍が違う二人が結婚することをこれほどスムーズに進むとは思ってもいなかった。
「大瀧さん、学生の二人なので内輪だけで・・・と言うのはどうでしょう。こちらから申し出て悪いのですが、スングの祖母は元気なころは海外を飛び回って、撮影旅行をしていましたが、今はこちらに来るどころか家の近所も出る事が出来ないので、韓国で両家だけの式を挙げて大学を出てからこちらで披露をすると言うのは。」
「そうですね。うちの方は優花の祖父母もまだ元気ですし、ペクさんの都合に合わせます・・・・・」
子供たちの結婚についての話を決めると、スンジョは優花の父と母と、仕事上の話をして、楽しい会食の時間を過ごした。
「いいですね。ご夫妻で二度目の新婚旅行にひと月以上も旅行をされるなんて。」
「子育ては妻に任せきりで苦労させましたからね。子供たちも大きくなったので、これからは二人の時間を大切にしようかと・・・・」
タクシーが停まると簡単な挨拶をして、スンジョとハニがタクシーに乗ろうとすると、スングもそれに続いた。
「一緒に来るのか?」
「今日はね・・・・優花と結婚を許して貰えたのならこの先ずっといられるから、一晩・・・・親父とお袋がこっちにいる時は、あのマンションで過ごしたいよ。智樹おじさんには伝えてあるから。」
寂しそうに見ている優花に手を振ると、タクシーは走りだした。
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