未来の光(スング) 79
一週間の星屑の里での静養も長いようで、終ってしまえば短かった。
術後の体力は切開部分が小さいから落ちてはいなかったが、親子三人静かな時間で過ごせたことは良かった。
スングが来なけれは、ハニと初めての二人だけの旅行だったが、スングがいてくれたおかげで親としての思いを話せたし、子供から感謝の言葉を聞けたことは、ハニ任せにしていた子育てにありがとうと言いたい気持ちだった。
「親父とお袋は結婚した時に、子供は7人も欲しかったの?」
「どうして?」
「オレとスアは40過ぎの子供だし、孫のインハと同じ年じゃないか。避妊とかしなかったの?」
スンジョはスングの言葉に顔色一つ変えることは無いが、ハニは“避妊”と聞いて顔を赤くした。
「や・・・やぁね・・・まるでお母さんたちが、何も考えていないみたいに・・・・もぅ!」
明日チェックアウトをする準備にその場を離れたハニの代わりに、スンジョがスングの話に応えた。
「こんな話を子供のお前とするとは思わなかったな・・・・・スンスクをスンミが生れてすぐに妊娠した時、お母さん生はむのを止めようと思ったことがあった。スンミは予定日よりもひと月も早く自宅出産したから弱くて、まだ手が掛るのにスングが出来て、随分と二人で迷ったよ。そんな時にミアおばさんが、生んでほしいって言って来た。おばさんはウジョンを妊娠した時に、身体を壊し二人目は望めなくて・・・・・授かった子供は自分たち夫婦の子供と同じだから生んで欲しいって。それにお母さんは一人っ子だったのもあるから兄妹も欲しかったって・・・・・それよりも、スンハだけしか知らないが、スンハとスンリの間に一人妊娠をしたが直ぐに流産をしたんだ。」
その話はスングは知らなかった。
確かに兄妹が多い事でからかう人はいたが、スングもスアもそんなことに一々反応はしなかった。
両親が好きで兄や姉たちが好きで、ペク家の人たちが大好きだったから。
「スンスクを生むことに決めた時、お母さんから言われたんだよ。この子は生むことが出来なかった子供。ひとりしか生むことの出来ないミアの為にも、生むかどうか迷う事は止める。そう言ったけど、さすがにスングとスアが出来た時は、お母さんばかりじゃなくお父さんも焦ったよ。最後になる子供が双子で・・・年齢も年齢だしそれまでに子供を5人生んでいるから、ほとんどお母さんは入院していたよ。まだ小さいスンギは、お母さんの傍にいたくて寝かしつけるのは大変だった。」
甥のインハといつも一緒に、ミレとフィマンを育てる為に仕事を辞めた母と過ごす時間は沢山あった。
子供心に不器用だと思う母が、一生懸命に孫たちの世話をしている姿が綺麗だと思って見ていた。
「親父・・・オレとスアをこの世に誕生させてくれてありがとう。ペク・スンジョとオ・ハニの子供として生まれて本当に良かったと思う。両親の姿を忘れないで、優花と幸せになるから。」
スングからそう言われた時に、今まで子供たちからそう言われたことも無かったが、きっと他の子供たちもそう思っていてくれているのだろうと思うと、自分の性格と違ってハニの性格を受け継いでくれたことに感謝した水入らずの旅行だ。
更にハニが自分にはなくてはならない大切な人だと実感した。
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