未来の光(スング) 83
新しい命の誕生ね
私の両親や兄妹が亡くなり、1歳にもならないうちに娘のルミを亡くし、夫ももう随分と前に亡くなって・・・・・・・
ハニちゃんも、幼い頃に母親を亡くして、二人目の子供を流産して・・・
7人の子供たちに囲まれて幸せに暮らしていても、ハニちゃんも私と似ているところがあるから、亡くした子供を忘れたことは無いはず
「私の最後の孫のスアが、20歳でお母さんになるのね。あの子も私と似ているわ。高校を出てすぐに結婚をして、1年で愛している旦那様の子供と出会えて。後はスングが結婚をして親になるのを見たら、スチャンさんとルミのいる所に行くわ。私の幸せは叶ったから、後は天国でスンジョ達を迎えられるように3人で待っているわ。」
迎えのタクシーが到着して、スンジョがウンジョに『お袋を頼む』と言う声が聞こえる。
「運転手さん、深夜にすみませんが出来るだけ早くパラン大病院にお願いします。」
スンジョが、運転手に伝えると直ぐにタクシーは走りだした。
「スアはどんな様子って?」
「落ち着いているみたいだけど、さすがに破水をしたから、かなり辛そうだと言っていたよ。サン君が夜勤で不在な時じゃなくてよかったよ。」
もう数日前の時だったら、スアはサンと二人で初めての子供の出産になる所だった。
スンジョはスアの予定日に掛らない様に、智樹の病院にオペの予約を入れていた。
スンミの時も予定日より早かったが、まさかこんな風に気持ちを焦らせることは無かった。
タクシーは暗いパラン大病院の駐車場に到着すると、サンの両親が二人を待っていた。
「ちょうど、サンの家にいたので一緒に病院まで来ました。今、帝王切開で生むことになったのですが・・・・・・」
「何か問題でもありましたか?」
出来るだけ早く歩きながらスンジョはサンの両親と話をしていた。
「ペクさんは聞いていましたか?」
「私ですか?予定日は来月で、まだ生まれないと言う事だけで・・・・・」
ハニは、サンの母親が言いかけたことが気になった。
何か戸惑っているような、その表情でスアが危険な状況なのではないかと・・・・・
「双子・・・・・みたいです。」
「双子?」
「一緒に買い物に行った時に、同じデザインで色違いを買うから、どうしてなのか気にはなっていたのですけど、スアちゃんは色違いが欲しいから・・・としか言わなくて。さっきサンに聞いたら、サンはスアちゃんがご両親には話してあるはずだと言うので・・・・・・」
スアは何でも話す子供ではあったが、時々両親を気にして言わない事もあった。
夏にスングが帰国した時も、先月日本に行く前に電話で体調を聞いた時も、隠し事をしている風な様子も見られなかった。
産科のオペ室の前に行くと、サンが看護師と話をしていた。
「サン!」
「母さん・・・・お義父さんとお義母さんも来てくださったんですか。」
ハニは、頭を下げて看護師と挨拶をした。 まだハニが病院を退職する前に新人だった産科の看護師。 今はベテラン看護師になって、責任ある立場にいると聞いた。
「サン君、スアは?」
「数分前に、無事に生まれました。今は、保育器に入っていますが元気そうです。」
「で・・・スアは・・・・それと子供は・・・・」
「スアは、中にいますが元気です。女の子と男の子の双子です。」
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