未来の光(スング) 85
「アッパ、隠しているつもりでもみんな知っているよ。スンハ姉さんが最初に気が付いて・・・・」
「スンハが?」
「うん、前ならアッパは大学の階段を一気に掛け上がるのに、途中で立ち止まって深呼吸をしていたって。それでスンリ兄さんが、もしかしたらアッパは心臓が悪いのかもしれないって・・・・それを聞いたヒョンジャ義兄さんが、最近忙しいみたいで痩せたから気を付けた方がいいって。」
「スンスクは知らないわよね。毎日顔を合わせていても、何も言わないでいつも通りだったし。」
スアはハニのその言葉に、頭と手で否定をした。
「気が付いたみたい。スングは、アッパは子供たちには心配させないようにしているかもしれないから知らない振りをして、一応急な事があったら智樹おじさんにすぐ連絡をするからって言ったの。」
子供たちはオレの体調の変化に気が付いていたんだ。
ハニにだけ話して、何事もなく子供たちと接するつもりだった。
どの子供たちも、みんなハニ似て相手を気遣ういい子供たちだ。
「スンジョ君、もう帰った方がいいわよね。遅い時間だし、スアも子供が生まれたばかりで明日から授乳とかで大変だから、今日だけはよく休まないと初めての出産が双子だったから疲れ果てちゃうから。」
「そうだな、また明日来るから。」
「いいよ・・・オンマと家で仲良くしていて。スングの結婚式には、昔のアッパみたいに元気になって欲しいし、いつまでもオンマとアッパとずっと二人でいて欲しいから。私達子供は、アッパとオンマの夫婦が理想なの。」
涙が出そうだ。
ハニはもうすでに涙を流して、頷くだけしか出来ないみたいだけど、子供たちの成長を見て、ハニと結婚をして本当に良かったと思う。
病院の外は秋の風が寒く感じる。
もう直ぐオレとハニの結婚記念日が来るな。
言ってみようか?
結婚してまだ一度も言った事が無いかもしれないし、結婚前にも言った事はないはずだ。
「スンジョ君?」
呼んだタクシーはまだ来ない。
ハニは慌てて来たからなのか、上着も着ていないくてさっきから寒そうにしている。
スンジョは自分のジャケットを脱いで、ハニの肩に掛けた。
「慌てて上着を着て来ないから寒いだろう?」
「ふふ・・・・・」
オレの身体を心配して、ハニもひと月の間に大分痩せたな・・・・・・
いつもお前はオレを中心に生きているのか、子供たちをオレから貰った大切な贈り物だとよく言っていた。
今なら恥ずかしくなく言える。
スンジョはハニを抱きしめて耳元に顔を近づけて囁いた。
「愛しているよ。生涯お前だけだ。生まれ変わってもハニを見つけて、ハニだけを愛し続けるから・・・・」
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