思わぬ同居人 3
バカなヤツ。 オレの世話にならないなんて、粋がって言ったことを後悔してやがる。
口をパクパクさせているアイツのキャリーバックを持ってやると、間抜けな顔をして何も言わず付いてくる。
「ここがお前の部屋だ。」
吐き気と眩暈に襲われそうなコイツの部屋を開けて、キャリーバックをポンと置いた。
何だよコイツは。
オレの世話にならないと言っていた割に、オレの家に入ってこの嬉しそうな顔。
女はこんな部屋がいいのか?
御姫様みたいだとか、夢みたいだとか。
くだらない。
あまりに無邪気に燥ぐコイツにイラッと来た。
「オレの世話にはならないと言ったよな。」
こんなこと言うなんてオレもどうかしている。
「ウンジョの部屋だったんだ、それをお前が来るからって追い出されて・・・・・オレの部屋に学習机やらベッドやら運び込まれて、随分と狭くなった。」
オレもこんな幼稚なことを言うことをするなんて思わなかった。
「ごめんなさい・・・・・」
「謝るならウンジョに言ってやれよ。」
お袋がリビングに来ないハニを心配して、知らない間に二階に上がって来ていた。
「スンジョ!余計なことは言わなくてもいいじゃない。」
息子のスンジョの顔を睨み、ハニの顔を見る時は別人のようににこやかな顔を見せた。
「ハニちゃん?この部屋を気に入ってくれたかしら?」
ちょっと悲しい顔をしたアイツに多少悪い気もしたが、オレの平穏な生活を乱されそうで嫌だった。
「何だかお姫様になったみたいです。こんなに綺麗な部屋・・・・・夢みたいです。」
はっ?夢みたいだって? 夢なら良かったよ。
何の因果でこのバカな女と今夜から同居なんだよ。
全く傍迷惑(はためいわく)な7クラスのバカ女。
狭くなった部屋の隅に置かれたウンジョのベッドを眺め、狭くなるからと撤去されてしまったソファーの代わりに自分のベッドに座って本を読んでいると、風呂から上がったウンジョがブツブツ言いながら入って来た。
「お兄ちゃん、お風呂空いたよ。ママが早く入ってお風呂を洗ったら新しいお湯と薔薇の入浴剤を入れてあげてって・・・・・何であんなバカなヤツにそこまでするんだよ。ママが何を考えているのか判んない。」
無理にウンジョがスンジョに合わせて文句を言っていることくらい、スンジョは気が付いていた。
「お兄ちゃん、お風呂に入って来るから寝ていろよ。電気は点けておこうか?」
「大丈夫、消して行っていいよ。」
バスタブに入ると、タブのヘリに並べられた見慣れないシャンプーやコンディショナーにボディソープ。
全てが女の子の好きそうなものばかり。
裏の表示を見れば、高級化粧品メーカーの製品だった。
なんであんなヤツのためにここまでするんだよ。
全くお袋は実の息子達の気持ちも考えたのだろうか?
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