思わぬ同居人 5
アイツの所為で今朝は寝不足だ。
あんな未発達の身体を見せられたら、眠りたくても眠れないじゃないか。
「お兄ちゃん?」
「もう起きろよ。」
「お兄ちゃん・・・・今日は早いね。」
いつもより早い時間に起きたのはオレだけではなくウンジョも同じだった。
ダイニングに行くと、朝食の準備をしながらお袋の楽しそうな鼻歌が聞こえて来た。
妙に浮かれたお袋は、あの迷惑な同居人が来たことで気分がいいのだろう・・・・が、オレは不愉快でならない。
「ギドンさん・・・・ハニちゃんを私が起こして来てもいいかしら?」
「あぁ、奥さん私が起こしてきますので・・・・スンジョ君たちの食事の用意を・・・・・・」
おじさんがそう言った時、普通にしていても腫れぼったい眼なのに、起きたばかりでさらに腫れぼったい目をしていた。
「おはようございます。」
「ハニちゃん、おはよう。スンジョの向かい側の席があなたの場所よ。」
新聞で顔を隠していても、アイツがオレの顔をチラチラと見ているのが判る。
焼かれたばかりのトーストにジャムを塗って、アイツの方にスライドしてやった。
ドン臭そうなやつだ、折角オレがスライドしてやったのに受け取ることも出来ない。
「ハニちゃん、ジュースのお替りは?」
「あっ!ありがとうございます。」
オレが無視をしているのに、一々様子を伺うアイツは、パンをのどに詰まらせて咽こんだ。
ザマ~~ミロ
お袋と親父が慌てているが、オレはお前なんかどうなろうとも気にしない。
「ごちそうさま。行って来ます。」
立ち上がって玄関に向かうと、お袋がハニにオレと一緒に学校に行くように声を掛けていた。
誰がこんな奴と一緒に行くか、メンドクサ!
それなのにどうしてなのかな?
アイツが追い付いて来るように歩くなんて。
このスピードだと、いつもの電車よりも一本後になるか。
「待ってぇ~、待ってよ、スンジョ君。」
バタバタと短い脚でオレに追いつこうと必死になって走って来た。
「おばさんが一緒に行きなさいって・・・・・ハァハァ・・・・言ったのに、待ってよ。」
アイツの頭の先から足の先まで眺めた。
「お前の脚が太くて短いから追いつけないんだ。いいか?今日だけ一緒に行くから道を覚えとけよ。それと学校ではオレに絶対に話しかけるな。」
少し子供じみた言い方だけど、怒りもしないでオレの顔を嬉しそうに見ていた。
んん?小高い丘の上からこちらを伺っている、妙な格好をした男が気になった。
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