思わぬ同居人 13
・・・・・痛っ!! 首を寝違えたか・・・・コイツの勉強を見ている間に眠ってしまった。
「い・・おい・・・・起きろよ・・・」
ハニの身体を揺すっても、全く目を開けない。
「仕方がないな・・・」
机に伏して眠りこんだハニを、スンジョは抱き上げてベッドに運んだ。
何の夢を見ているのか、眠ったまま笑っているハニの顔を見て思わず声を出して笑ってしまった。
「マヌケな顔をして・・・・・・」
スンジョはそう呟くと、電気を消して部屋を出た。
サッとシャワーを浴びてベッドに入ったが、スンジョは中々眠りに付けなかった。
いつもなら9時には眠っていた。
ここ数日はハニに勉強を教えていたから、睡眠不足ですぐに眠れるはずだった。
目を閉じても、ベッドに運んだ時に触れた感触が頭から離れなかった。
意外と華奢で軽いハニの身体。 動く時に香ったハニのシャンプーの臭い。
意識しない様にしていても、意識してしまう。
初めて自分以外の人間が気になったし、初めて勉強をした。
本当にアイツはオレの今までにない体験をさせてくれるよ。
頼むから、オレの平穏な毎日を揺るがすなよ。
寝つけられそうにもないスンジョは、冷蔵庫を開けて何か飲むものを探していた。
カチャカチャと食器の当たる音に振り返ると、ハニが夜食の食器を持って降りて来た。
「あっ!スンジョ君・・・・・」
そのままスンジョはハニの横を通り過ぎて行こうとした。
「コーヒーを淹れようか?」
「こんな時間にカフェインか?オレを寝かせないつもりか。」
「そんなつもりは・・・・スンジョ君いつもコーヒーを飲んでいたから・・・・あの・・ベッドに運んでくれてありがとう。」
「フン・・別に・・・・コーヒー・・・飲もうか・・・・・」
「いいの?眠れなくなるよ。」
「オレは眠れる。コーヒーで眠れる人もいるからな。」
スンジョに言われてニコッと嬉しそうに笑い、コーヒーを淹れる用意を始めた。
オレは寝かせないつもりかと言って、結局アイツの淹れたコーヒーを飲むのか?
何も出来ないアイツなのに、コーヒーは美味かった。
「美味しい?」
心配そうに覗き込むアイツに<美味い>と言ってやりたいが、オレはそんなことを言う気などないし、からかってみたいと心の奥で別のオレが言った。
「コーヒーくらいで美味いとかよく聞けるな。」
ガッカリした顔をして、夜食の空の食器を洗い始めた。
「置いておけばいいだろう。明日の朝お袋が洗うから。」
「そうはいかないわ。美味しいお夜食を作ってくれたのだから、せめて片付けないと。」
最後に一口をグイッと飲み干してカップをシンクまで持って行った。
「ごちそうさま。お前も早くシャワーを浴びて寝ろ。」
優しく言ったつもりはなかったが、アイツは嬉しそうな顔をして振り向いた。
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