思わぬ同居人 14
クルッと振り向いたハニの顔に、思わずドキッ!!と、オレの心臓が跳ね上がったようになった。
オレの嫌いな部類の中で、特に嫌い・・・・・違う、一番苦手なタイプだ。
こっちの気持ちも考えずに、ズケズケと心の中に入って来て。
でも何だろう、このザワザワとした感じは・・・・
寝不足のせいに決まっている。
明日の試験に備えて眠らなければ・・・・・
スンジョは目を閉じると、5分も経たないうちに眠りの世界に入り込んだ。
「お兄ちゃん、ハニちゃん、行ってらっしゃい・・・・あっ!そうだわ・・・ハニちゃん、これお守りよ。持って行ってね。・・・あっ!試験が終わるまで、絶対に開けないでねぇ~」
何か引っかかるような言い方と、女の子っぽいピンクの封筒に入れたお守りをハニのカバンに押し込んだのを見て、スンジョは嫌な予感がした。
「ねぇねぇ、スンジョ君は通学の乗り物の中で、勉強はしないの?」
「しない。」
下から見上げるようなアイツのキラキラした瞳が、手に持っている本の端から視野に入ってくる。
「すごいね、やっぱり天才だ!!」
何でコイツは勝手なことばかり言うんだ。
天才だからしないと言うのとは、理由が違うだろう。
「天才と言う前に、授業に集中していれば直前まで勉強する必要もないだろう。他事を考えていたりしているから、通学途中の乗り物の中でやるんだよ。テスト本番の前日は早く寝て、サッと目を通すだけでいい。心配だからと言って、あれもこれもとテキストを開くと、返って本当に大丈夫かと思って心配になって間違って覚えることもあるんだ。」
スンジョの一言一言を尊敬の眼差しで見ているハニ。
そんな事は当たり前の事なのに、そんなハニの視線が何とも言えず、自分の凝り固まった物が解き解れるようだった。
そんなハニの様子を見てスンジョは、ハニも不安だから直前までテキストを開いて勉強をしようと思っていたのではないかと思った。
「お前は大丈夫だ。このオレが一週間、勉強を見てやったのだから。ほら!降りるぞ。」
「はい!」
ウサギのようにピョンピョンと飛び跳ねるように降りて付いて来るハニの気配を楽しみながら歩いていると、自然と顔が綻んで来た。
そんな感覚も、クラスメートに声を掛けられると、ハニとは別々に登校することになった。
校門をくぐると、全校がテスト週間の所為か緊張感が漂っていた。
「悪い、先に行ってくれ。」
「どうかしたのか?」
「いや・・・・、ちょっと・・・」
スンジョに深くは追及しないで、クラスメートは教室に向かった。
一人で歩いて来るハニの姿を見つけて、待っていたことがばれないスピードで、三年の教室に向かう階段を上っていた。
「もぅ・・・速いんだから・・・歩くのが。」
息を切らして階段を上がって来たハニにボソッと呟いた。
「試験・・・・・頑張れよ。」
ビックリしているのが伝わってくるハニの動き。
学校で話しかけるなと言ったのに、ハニは1クラスの教室の前で底抜けに明るい大きな声で叫んだ。
「スンジョ君!ありがとう!!」
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