思わぬ同居人 15
試験の結果なんて今まで一度も気にしたことなど無かった。
自分の結果が心配じゃなくて、他人のそれも自分の嫌いなタイプの人間の試験結果が気になったのだ。
「おお・・・珍しいな、お前が試験の順位表を気にして見るのは。」
からかうようにオレが掲示板を見ていると話しかけて来たやつがいた。
そんな事を気になどしていられない。
「おい、そっちは50番だぞ。スンジョ、お前の順位は不動だろう。」
42・43・44・45・46・47・48・49・50・・・・オ・ハニ 7クラス
やったぞ!
アイツが見に来ているのかと辺りを見回すと、上位の方を背伸びして見ているアイツがいた。
オレの視線に気が付いたのか、振り向いて大きく手を振って近づいて来た。
「すごいね。さすがスンジョ君。また一番だよ。」
「お前もやったじゃん。」
例の物を返してもらおうと手を差し出すが、アイツは何を思ったのか握手をして来た。
「違う!アレを返せよ。」
パシッとアイツの手を叩いてやった。
アイツはオレの言おうとしていることが解ったのか、ポケットに手を入れてそれを出した。
「これ?」
正反対な二人が話しをしているのに気が付いた他の生徒に見える様にチラつかせていた。
「おい!」
これを他人に見られたら、オレの威厳が崩れてしまうだろう。
そのままその場を立ち去ろうとした時、そこにいた何人かがオレ『7クラスで50番になったハニを背負え』と囃し立てた。
その何人かはアイツと同じ7クラスの連中だ。
「オンブ!オンブ!」 大合唱の様に掲示板のあるホールにその声が響き渡った。
「いいから・・・・気にしなくてもいいから・・・・・」
約束だった。
それも、沢山の人が見ている前で<お前が50番以内に入ったら、オンブして構内中を回る>
「乗れよ。」
しゃがんで背中をアイツの方に向けた。
「いいから・・・本当にいいから・・・・」
赤い顔をしてオレの背中から一歩下がって行く。
その時突然騒々しくハニと同じクラスのポン・ジュングが現れた。
「ハニや~、オレが背負ってやるわ」
おいおい、コイツはお前に背負って欲しいわけでもなく、誰でも良いわけでもない。
このペク・スンジョに背負ってもらいたいのだから。
半ば強引にアイツを背中に背負わせて、ホールからグランドの方に出て行った。
おかしな男だ。
アイツ、オ・ハニはお前から離れようとしているのが分からないのだから。
でも、まぁいいさ。
オレは別にアイツを背負いたかったわけではないのだから。
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