思わぬ同居人 21
学校をサボってのオートキャンプは、ウンジョとハニのあわやの出来事で静かな夜を迎えることになった。
招待したトッコ・ミナとチョン・ジュリは二人で仲良く花火をしている。
本当ならば、きっとアイツもあの中に入って、騒いでいたのだろうと思うと不思議とまたいつかこうやってここに来ることがあるような気がした。
オレに纏わりついていたホン・ジャンミンもなんだかんだと言ってはいたが、ハニの友達二人と一緒に花火をしたいからと離れてくれて助かった。
「天才君はギターを弾く姿もサマになってるな。」
この声は顔を見なくてもわかる、ポン・ジュング。
「悪いな、服を貸してもらって。」
何も返事をしないオレの隣に、いつもとは打って変わって静かに座った。
「そんなにアイツの事が好きか?」
「何や、そうストレートに聞かれると照れるな・・・・・・ああ・・・好きだ。」
人を好きになったことがないオレにとって、そんな感情は理解できないし理解しようとも思わない。
ただ、ジュングのように素直に自分の想いを言えることが出来て羨ましかった。
他愛もないことをジュングが勝手に話しているのを聞くと、こいつの考えとアイツの考えていることが本当によく判った。
人を好きになる事に何も求めない。
オレは性格的に、こうすればこうなるとすぐに計算してしまう。
それは仕方のないことだけど、アイツやジュングのように、何も見返りを考えないで人を好きになる気持ちが判らない。
ちょっとハニをよく観察してみようか。
嫌いなタイプだから逃げるのではなく、もう少し近づいて付き合ってみれば案外気持が判るかもしれない。
ボンヤリとスンジョはキャンピングカーの方を見ていると、静かにドアが開いた。
きっとグミがスチャンの所に行くのだろうと思っていたら、ハニが車から降りてきた。
身体が冷えて寒いのか、肩を抱いて歩いているハニは、足元がフラフラとしていた。 隣でイビキを掻いて寝ているジュングを起こさないようにスンジョはテントの外に出た。
いくらファミリーばかりのキャンプ場でも、若い女の子が一人で歩いているのは不用心だ。
何も障害のない砂浜をハニは、思いっきり派手に転んだ。
「もう!もう!なによ!」
一人で何に怒っているのか判らないが、笑いを堪えながらスンジョはハニの数メートル後ろを歩いた。
「ここにしよぅっと。」
岩の上に座って、何が楽しいのか幸せそうに打ち寄せる波を見ていた。
「海の向こうはどうなっているんだろう!!地球の果てって・・・・・どこ?反対側にいる人は逆立ちしているのかな?」
バ~カ地球の果てなんてあるわけないだろう、地球は丸いのだから。
地球の反対側にいる人が逆立ちしているわけないことくらい、小学生のウンジョでもわかるぞ。
『クシュン』と、ハニが可愛いクシャミを数回している。
スンジョは後になって、自分の中で狂った歯車が合い出してきたことに気が付いた。
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