思わぬ同居人 22
月の灯りが水面に反射してハニの顔に当たりユラユラとしている。
美人でもなく特別に可愛くもなく、どちらかと言うと同年齢の女の子よりも子供っぽいハニが、妙にその時は 女っぽくて普段の隙だらけの雰囲気とは違って見えた。
目が涙で潤んでいるのか、キラキラとしている。
そのまま、夜の海に溶け込みそうに思えて無意識に足が出た。
__________ジャリ・・・・・
ハニは砂を踏みしめる足音に驚いて、振り返り立ち上がった。
「だ・・・だ・・・・だれ・・・・・・・・」
スンジョからハニは月灯りで顔の表情が良く見えるが、ハニからはスンジョの顔が影になり誰なのかは確認が出来ない。
「こ・・・・来ないで・・・・・・」
ジリジリと後ずさりしている。
もうあと数センチで、ハニは海に落ちてしまう。
スンジョは咄嗟に走り出して、ハニが海に落ちる前に自分だと知らせようと思ったが、捨てられていた空き缶にハニは足を取られて身体がバランスを崩した。
「バカ!何やってんだよ。昼間も海に落ちただろう。」
「えっ?スンジョ君・・・・・きゃぁー」
スンジョの長い手が、ハニの手を掴んだ。
「泳げない癖に、こんな暗い所で何をしているんだよ。それに女の子が遅い時間に一人で歩いていたら危ないだろう。」
昼間に溺れているハニを思い出し、こんなに焦っている自分にスンジョは驚いた。
掴んだ手をグッと引くと、勢い余って二人は砂浜に倒れ込んだ。
「痛っ・・・・・・・・・」
ハニの小さな声がして、海に落ちなかったと安心した。
「怪我をしたのか?」
「・・・・・・・・」
怒鳴ったわけではないが、スンジョに怒られたと思ったハニはグッと唇をかんだ。
「どうしたんだよ・・・」
「ごめんなさい。」
「何を謝るんだ。」
「スンジョ君が怒っているから。」
ハニはスンジョの身体の上から降りて、砂浜の上にペタリと座った。
「怒ってないよ。」
そう言っても、オレの声は怒っているようにハニには聞こえるかもしれない。
「手を何かで怪我をしたみたい。」
スンジョはポケットの中なら、携帯用のLEDライトを取り出した。
貝殻で切ったのだろう、ハニが倒れたあたりに血が付いた貝殻が落ちていた。
「こっちに来いよ。」
有無言わせず、スンジョはハニを波打ち際まで連れて行った。
ハニはいつもと違うスンジョに、ドキドキと胸がときめいていた。
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