思わぬ同居人 39
スンジョは腕時計を見て、直ぐに走り出した。
人を掻き分け中心で倒れている人を確認する前に、隙間から見えた靴でハニだと判った。
「すみません、通してください。」
テハン大の門をくぐるまでを確認するつもりで付いて来たハニ。
足音を聞きながら歩いていたのに、どうしてあと少しでテハン大の門だと言う所で交通事故に遭うんだよ。
スンジョはハニと接触事故を起こした車の運転手が、救急車の手配をして到着をするまで、目を閉じたままのハニが心配だった。
「もしもし・・・・まだ途中・・・ハニが車と接触事故を起こして・・・・今救急車に乗ってパラン大学病院に向かっている・・・おじさんにも伝えて。」
救急隊に自分とハニとの関係を聞かれた。
何て言えばいいのか・・・・・
「兄妹?」
「いえ・・・・」
「恋人?」
「違います。」
「ん~じゃあ、どんな関係?」
「どんな関係でしょう・・・」
そりゃあ、こんな言い方をすればふざけていると思われるだろう。
本当にどんな関係だとは言えないオレとハニの関係。
「同居人です。」
「それなら、恋人じゃないのか?夫婦には見えないから、記録に書かないといけないし、無関係の人を救急車両に同乗は出来ないんだよね。」
「じゃあ・・・・友人にしてください。父親同士が親友で一緒に住んでいるので。」
救急車の中でも、ハニは痛みで魘されていた。
酷い怪我があるわけでもないし、どこかで切った様子もないから出血もしていない。
脳を投打したのなら頭を動かしてはいけない。
痛い痛いと言って魘されているハニの呻き声を聞きながら、大丈夫だと祈り続けていた。
「レントゲンの結果、特に問題も見当たりませんが、念のために2・3日入院をして様子を見ましょう。」
「すみません、直ぐに親が来ますから・・」
「ところで君・・・・」
「はい。」
「あとは大丈夫だから・・・見たところ学生みたいだけど。」
「今日、受験です。」
「大丈夫だから行きなさい。まだ時間はあるから間に合うよ。」
スンジョは担当した医師に挨拶をしてその部屋から出て行った。
今から全速力で走って行けば余裕で間に合う。
少しハニの顔を見てから走って行っても直ぐに着く。
スンジョはハニの寝顔を見て、テハン大に試験を受けに行くかこのままハニをギドン達が来るまで見ているか考えていた。
「スンジョ君、大丈夫だよね。ちゃんとテハン大を受けてくれるよね。」
病室でハニの様子を見ていた時に、打撲の痛みで魘されているのに、スンジョがテハン大を受けてくれるのかを聞いていたハニの姿が忘れられない。
自分が親に反発をしないで素直に受験をしていたら、ハニはスンジョが門をくぐるまで見届けに来ることも無ければ、車に引かれる事も無かった。
自分の為に怪我をしたような気になっていた。
思いもよらぬ他人との同居で戸惑っていたが、自分らしく毎日を過ごしているハニに、時々考えさせられることがある事に気が付いた。
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